「富士山を80回登る」距離に 24万人余の命、重み実感 「平和の礎」名前の読み上げ終了 沖縄


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平和の礎に今年追加刻銘された沖縄戦の戦没者名を読み上げる参加者=23日、糸満市の平和祈念公園内

 沖縄「平和の礎」名前を読み上げる集い(同実行委主催)は23日、糸満市の県平和祈念資料館前で今年度に追加刻銘された365人の戦没者名を読み上げて終了した。参加者らはこれまでの読み上げを振り返り、沖縄戦で犠牲となった24万人余の戦没者の命の重みを実感した。歌や演奏もあり、会場の様子はオンラインでライブ配信された。

 実行委によると、追加刻銘分を含めて読み上げた戦没者数は24万2051人。読み上げには、県内外のほか米国や台湾、ウクライナなど8カ国9地域から3882人、学校単位で小中高校、特支校や大学など33校が参加した。

 読み上げに参加した北中城中1年の宮城朱花(しゅうか)さん(13)は、「北中城は小さな地域だけど亡くなった人が多かった。沖縄全県に(もっと)いるんだと実感した」と涙をこらえ切れず、言葉を詰まらせた。

 町田直美実行委員長は「読んでも減らない名簿に焦りもあったが、終えることができた。毎年刻銘があるということは戦争がまだ続いているということ。私たちには発信し続ける義務がある」と話し、来年以降の継続に意欲を示した。

 実行委が読み上げた戦没者24万人余の可視化にも取り組んだ。町田委員長によると、1人のひつぎを幅50センチで並べていくと「糸満市摩文仁から国頭村辺戸岬を越えた」とし、130センチで縦に並べると「富士山を80回登る」距離になることも紹介した。
 (慶田城七瀬)