「島守忌」俳句、小林さんに最高賞 荒井退造、島田叡を顕彰 2年ぶり栃木で大会開催


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島守忌俳句大会の受賞者と選者たち=23日、宇都宮市

 太平洋戦争末期に沖縄県警察部長を務めた宇都宮市出身の荒井退造の顕彰に取り組むNPO法人「菜の花街道」(宇都宮市)などでつくる実行委員会は沖縄慰霊の日の23日、同市南図書館で「島守忌俳句大会」の表彰式を開いた。栃木県などから計315句が集まり、最高賞の栃木県知事賞に野木町丸林、小林たけしさん(79)の作品を選んだと発表した。大会は2021年の第5回まで沖縄県内で有志が主催。一度幕を下ろしたが、同法人が継承し栃木県に場所を移して2年ぶりに開かれた。

 大会は、投句を通し退造や当時の沖縄県知事島田叡(神戸市出身)を顕彰し平和を希求することが狙い。退造と島田は沖縄県民の疎開に尽力し「沖縄の島守」と呼ばれる。夏の季語として「島守忌」「荒井忌」「島田忌」を使った句を募集した。

 小林さんの作品は「ガジュマルに消えぬ弾痕島守忌」。選者は「沖縄を代表する巨木に戦争や歴史を重ね合わた重厚な作品だ」と講評した。小林さんは「沖縄県を訪れ、ガマの前で手を合わせたこともある。沖縄慰霊の日に頂くとても重い賞で、感慨深い」と語った。

 作品は1人2句まで募り、栃木県81人、兵庫県77人、沖縄県20人、東京都など3人の計181人が参加。選者は7人で、県俳句作家協会の速水(はやみ)峰邨(ほうそん)会長(84)が選考委員長を務めた。

 大会を終え、同法人代表の荒井俊典さん(85)は「不安はあったが多くの方の協力で開催でき、引き継いでよかった。平和を望むのは全世界の願い。次回については今後検討したい」と語った。知事賞以外6賞が発表されたが、その中で沖縄県の阿見芳夫さんが下野新聞社長賞を受賞した。
 (記事、写真とも下野新聞社提供)