米軍のPCB廃棄物、日本政府が把握できず 「高濃度」未処理なら違法状態 流通量の届け出義務も米軍に効力なし


この記事を書いた人 琉球新報社
現在は製造が禁止されているPCBが使われた古い高圧コンデンサーなどは、高濃度PCB廃棄物として今年3月末までに処理することが法律で定められている(2009年撮影の資料写真)

 【東京】人体への有害性から国が流通量を把握することにしているポリ塩化ビフェニール(PCB)の廃棄物について、米軍が保有する総量を把握できていないことが26日、防衛省などへの取材で分かった。防衛省は高濃度PCBも残っている可能性があるとみている。高濃度PCBは処理期間を過ぎており、民間業者なら違法状態に相当する。

 政府関係者によると、米軍のPCBは県内を含めた基地内で保管されている。県内では過去に嘉手納基地や牧港補給地区などでPCBの保管や汚染が問題となった。

 安全確保などのためにPCB特別措置法で、流通量を把握できるよう民間事業者には都道府県への届け出が義務付けられる。だが、米軍には必ずしもPCB特措法が適用されず、保管状況が把握できていない。日本国内で調達したものの他、国外からも持ち込んでいるとみられる。防衛省環境政策課は「在日米軍の廃棄物は米側の管理下にあるので把握が難しい」と説明した。

 環境省によると、高濃度PCBは遅い地域でも今年3月末に処分期間を終えた。一方、救済措置として現在も処分自体は可能。低濃度廃棄物の処分期間は2027年3月末まで。

 琉球新報は20日に在日米軍司令部にPCBの処分方針を問い合わせたが、26日までに回答はない。
 (明真南斗)