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公的教育費、沖縄は全国下位 一人当たりで小学生70万円、中学生87万円 財政力類似の高知・島根と大差


この記事を書いた人 アバター画像 嘉数 陽

 全国各地で深刻化している教員不足問題。原因を解きほぐすと、国の行財政改革による非正規依存の高まりや、教育改革による教員の多忙化など、政策的要因が複合的に絡み合っている。問題の解消には、正規雇用を前提とする教員採用者数の増加などが求められるが、実現には予算を伴う。日本、沖縄の公的教育費は十分に足りていると言えるのか。実態を取材した。(嘉数陽)

 文部科学省が毎年実施している地方教育費調査によると、県内の小中学生1人当たりの公的教育費は少なくとも15年間、全国下位で推移していることが分かる。

 2020年度会計分では、県内小学生1人当たりの教育費は70万2543円の44位で、全国平均の80万4694円と比べると10万2151円差があった。中学生は87万8431円の37位で、全国平均の94万545円と6万2114円差。一方で県民所得や自治体の財政力が沖縄と類似している高知、島根は小中ともに、少なくとも15年間全国3位以内を維持している。

 文科省が発表している在学者1人当たりの教育費は、経常的に支出される教職員の人件費や教育活動費などから算出している。校舎などの施設建設費は含まない。

 沖縄の教育費は年々微増しているが、少なくとも06年度会計分から全国平均を下回ったまま、下位で推移している。

 他方で高知と島根は上位を維持している。20年度会計分でみると、高知は小学生一人当たりが109万7596円(沖縄と39万5053円差)、中学生が151万4696円(63万6265円差)だった。島根は小学生が110万1195円(39万8652円差)、中学生が128万5293円(40万6862円差)だった。

 「1」を超えるほど財源に余裕があるとされる「財政力指数」(総務省発表)は19~21年度の平均で沖縄が0.36、高知が0.26、島根が0.25。


非正規教員 なぜ増えた? 国庫負担減 正規確保も困難に
 

 非常勤講師や臨時的任用教員といった非正規教員が、全国的に増加している。背景には国の行財政改革がある。

 国は2004年から、自治体に教員の給与額や教員配置などの裁量を持たせる「総額裁量制」を導入した。2年後の06年には小中学校の教員給与の国庫負担を2分の1から3分の1に減らし、残りの3分の2は各都道府県が負担しなければならなくなった。

 財政に余裕がない自治体では、総額裁量制で正規教員一人分の給与水準を引き下げ、浮いた財源で非正規教員を増員することで教員の必要数を確保しようとした。その結果、非正規教員が増加した。

 沖縄は県独自の少人数学級編成の導入や、特別支援学級の増加などもあり、正規教員の確保が追い付かず、非正規雇用の割合が高くなった。22年5月1日時点の公立小中学校教員の正規率は、全国平均92.2%に対し、沖縄は81.2%だった。

 一方、独自予算で正規教員の確保に努めている自治体もある。文部科学省の「公立小・中学校等の教員定数の標準に占める正規教員の割合」によると、自治体の財政力が沖縄に類似している鳥取県は20年度、正規教員の割合が全体の96.1%だった。沖縄は83.7%。

 その他の類似県である高知は91.5%、島根は91.3%だった。