【識者談話】教員確保へ持続可能な財源確保を 公費分配でトップのリーダーシップ期待 照屋翔大氏(沖国大准教授)


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 全国各地で深刻化している教員不足問題。原因を解きほぐすと、国の行財政改革による非正規依存の高まりや、教育改革による教員の多忙化など、政策的要因が複合的に絡み合っている。問題の解消には、正規雇用を前提とする教員採用者数の増加などが求められるが、実現には予算を伴う。日本、沖縄の公的教育費は十分に足りていると言えるのか。実態を取材した。(嘉数陽)

 非常勤講師や臨時的任用教員といった非正規教員が、全国的に増加している。背景には国の行財政改革がある。

 国は2004年から、自治体に教員の給与額や教員配置などの裁量を持たせる「総額裁量制」を導入した。2年後の06年には小中学校の教員給与の国庫負担を2分の1から3分の1に減らし、残りの3分の2は各都道府県が負担しなければならなくなった。

 財政に余裕がない自治体では、総額裁量制で正規教員一人分の給与水準を引き下げ、浮いた財源で非正規教員を増員することで教員の必要数を確保しようとした。その結果、非正規教員が増加した。

 沖縄は県独自の少人数学級編成の導入や、特別支援学級の増加などもあり、正規教員の確保が追い付かず、非正規雇用の割合が高くなった。22年5月1日時点の公立小中学校教員の正規率は、全国平均92.2%に対し、沖縄は81.2%だった。

 一方、独自予算で正規教員の確保に努めている自治体もある。文部科学省の「公立小・中学校等の教員定数の標準に占める正規教員の割合」によると、自治体の財政力が沖縄に類似している鳥取県は20年度、正規教員の割合が全体の96.1%だった。沖縄は83.7%。

 その他の類似県である高知は91.5%、島根は91.3%だった。

沖縄国際大学経済学部の照屋翔大准教授