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肌の色や性別にとらわれず <伊是名夏子100センチの視界から>151


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 主人公の肌の色でも話題になっている映画「リトルマーメイド」を見てきました。アジア系やアフリカ系などのいろいろなルーツや体型の人魚がいて、そのユニークさに感動しました。物語の登場人物の中に、自分と同じ特徴を持っている人がいると、子どもはどんなに勇気づけられるでしょう。ありのままの自分でいながら、憧れの存在を目指すことができるからです。

 最近のディズニー映画は登場人物だけでなく、いろいろな生き方を大切にするストーリーが多いです。女性が白馬の王子様に恋をして幸せになる、という定番の展開だけでなく、女性が自分の意志で、自分らしい幸せをつかむものもあります。しかし日本のアニメで描かれる女性は、おとなしく恥ずかしがり屋で、パワフルであっても、ここぞという時には男性を立て、お世話役になることがあります。

 家族設定も専業主婦のお母さんがいる家庭が多いです。似たような女性像や男性像を見続けると、無意識に性別のモデルにとらわれて、自分の考え方や生き方を縛ってしまうことがあります。例えば「教授」「医師」と聞いた時に男性を思い浮かべ、「看護師」「保育士」と聞いた時に女性を描くことはありませんか? また私たちの身の回りにいるリーダー、生徒会長や校長先生、PTA会長、議員は、女性よりも男性が多いのではないでしょうか。 男性と女性の二つだけの性別ではなく、いろいろな性の形が当たり前にもなっています。性別にとらわれた生き方ではなく、自分がどうしたいのかを考えて、それを形にできるといいなと思います。

 今月発表されたジェンダーギャップ指数の世界調査では、146カ国のうち、日本は125位でした。前年は116位でした。順位が下がっている背景には、日本が女性に対してより差別的になったから、というよりも、効果的な対策を取らず変わらないままの日本に比べ、他の国々は男女の差をなくすための政策を打ち出し、改善に力を入れているからです。今までの価値観にとらわれ、変わらないことで、日本は女性がますます生きづらくなっているのです。

 もしあなたが今まで、日本の男女差に気づいていないのなら、差があっても困らない立場にいるからか、もしくは差があることに気づかないくらい男女の役割にとらわれているのかもしれません。まずはその差に気づいて、できるところから変えていきたいですね。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。