オリオンビール名護工場の冷却水流出、「パイプに漏れがあった」 海洋への影響は限定的と環境省 漁協は風評を懸念


この記事を書いた人 琉球新報社
海面が赤くなる現象が確認された名護漁港=27日、名護市城(小型無人機で大城直也撮影)

 【名護】名護市東江のオリオンビール工場から27日午前、冷却水に含まれる食品添加物の一種「プロピレングリコール」が流出し、付近を流れる幸地川や名護漁港の海面が赤く染まった問題で、オリオンビールによると同日午前9時半ごろ、行政機関の立ち会いの下、流出が止まったことが確認された。同社は流出原因について「冷却水を送るパイプに漏れがあった」としている。名護市消防などによると、人的被害や生物への影響は確認されていない。

 プロピレングリコールは設備を冷却するために使われ、漏れ出したことが分かるように、食紅で赤く色付けしていた。何らかの原因でオリオンビールの工場から流出し、雨水溝を伝って幸地川へと流れ、漁港周辺へと広がったとみられる。午前9時過ぎには、漁港一帯の海面が赤く染まり、漁業関係者が写真を撮っている様子などがみられた。

 名護市漁協の幹部は「赤く染まったことで風評被害がないか心配だ。(染まった範囲が)漁港内なので、28日も通常通り漁に出るだろう。出張中の組合長が帰り次第、オリオンビールに説明をしてもらうことになると思う」と話した。

 環境省は取材に対して「基本的には害がある物質ではなく、原液がそのまま流れ出したというような特殊な状況でない限り海洋生物に影響は出ないようだ」と答え、生物への影響は限定的だとの見解を示した。

 冷却水の流出について、オリオンビールは27日、ホームページで「多大なご迷惑とご心配をお掛けしたことを深くおわびする」とする村野一社長名の謝罪文書を掲載した。同社の発表などによると、流出が確認された後、27日未明から対策や原因調査を進めていた。

 同社では流出が発生した際に備えて、防波堤などを設置していたという。今後の対策について「二度とこのような事態が生じないよう、防波堤の容量増設や漏れを感知するセンサーの取り付け、漏れを感知した際の冷却水の供給停止を迅速に行えるようにする」とし、対策を進める考えを示した。
 (普天間伊織、福田修平、増田健太)