陸自、陣地構築で琉球石灰岩の掘削方法を検証 南西諸島での戦闘を想定 78年前の第32軍と重なる地質の把握


この記事を書いた人 琉球新報社
琉球石灰岩の地質

 陸上自衛隊が南西諸島の有事に備え、陣地構築などを視野に、沖縄県内に広く分布する琉球石灰岩の掘削方法の検証を進めていることが27日までに分かった。3月には、大分県の日出生台(ひじゅうだい)演習場で砲弾を使って琉球石灰岩を爆破する検証を実施した。政府が沖縄を含む日本の南西地域で自衛隊の体制を強化する「南西シフト」を推し進める中、自衛隊が南西諸島での戦闘について具体的に想定し、地質などを踏まえた施設機材の整備を検討していることが浮き彫りになった。

 検証は、福岡県に駐屯する陸自第5施設団(小郡駐屯地)下の第2施設群(飯塚駐屯地)が担当している。同施設団を含む陸自の施設科は、戦闘部隊の支援を職務とし、陣地の構築や障害の構成・処理、河川を渡る際の作業などを行い、整備も担う。戦時中は日本陸軍の工兵科が同様の業務を担った。

 第5施設団の広報班は琉球新報の取材に、「一様の強度ではない琉球石灰岩に対する掘削方法や諸元(性能)等を獲得するため」と掘削検証の目的を説明した。

 南西シフトとの関連について「西部方面隊は、南西諸島域の防衛任務を有しており、西部方面隊の一部である第5施設団についてもその任務に当たることが予想されるため、さまざまな取り組みの一環として行っている」と回答した。任務のため「さまざまな土質を活用する必要があるため、その特性について調査や研究を行っている」と説明した。

 一方、78年前の沖縄戦で、沖縄戦を指揮した第32軍は首里城地下の硬い琉球石灰岩層の下に司令部壕を構築した。激しい艦砲射撃や空襲にも耐えられると考えられた。沖縄戦の研究者は「自衛隊は他国からのミサイルなどの攻撃を想定し、琉球石灰岩のような硬い地層での陣地構築を検討しているのだろう。歴史は繰り返すという思いがある」と危惧している。
 (座波幸代)