【東京】内閣府は27日、沖縄での鉄軌道導入に関する2022年度の調査結果を公表した。32年度までの新たな沖縄振興計画の根拠法となる改正沖縄振興特別措置法の施行後初の調査。国会の付帯決議で採択された全国新幹線鉄道整備法(全幹法)を参考とした特例制度についても初めて本格的な調査を実施した。導入コストに対する経済効果を示す「費用便益費」(B/C)は前年度から微増となったものの、事業実施の目安となる1に届かなかった。
内閣府によると、コスト縮減方策として「磁気浮上方式(HSST)」など6つの新公共交通システムを検討した。
HSSTで名護―糸満を結ぶルートを想定した場合のB/Cは、前年度0.71から0.74に微増した。
一方、概算事業費は前年度比490億円増の7050億円、開業後40年間の累積赤字額は2140億円増の5210億円となった。22年1~12月の燃料費高騰により需要予測値が引き上げられたことなどが影響した。
調査では、新たに(1)建設工事費、土地・車両価格の上昇(2)バス運賃や自動車の燃料費など各交通手段のサービス水準の数値データ更新(3)名護―那覇ルートのB/C試算―などの要素を加味した。
HSSTの名護―那覇ルート試算では、B/C0・80、概算事業費5900億円、累積赤字額5690億円となった。
改正沖振法の施行を踏まえ、全幹法を参考とした特例制度についての論点・課題の洗い出しも実施し、調査費は7987万円を計上した。
(安里洋輔)