「いったい何のための備えか」 陸自、琉球石灰岩で陣地検証 戦争体験者「沖縄戦前夜」と警鐘


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「第32軍司令部壕の保存・公開を求める会」として「慰霊の日」アピールを発表した瀬名波栄喜会長(中央)、垣花豊順副会長(左)、高山朝光副会長=今月19日、県庁記者クラブ

 陸上自衛隊が「琉球石灰岩」を掘削して陣地の構築などを行うための検証を進めていることについて、戦争体験者からは「沖縄戦前夜の様相だ」「『備えあれば憂いなし』ということかもしれないが、いったい何のための備えか」「平和外交で基地を置かなくてよい状況をつくってほしい」との声が上がった。

 第32軍司令部壕の保存・公開を求める会の瀬名波栄喜会長(94)は沖縄戦で鉄血勤皇隊に動員され、陣地構築に携わった。北谷村平安山(当時)での大砲陣地構築に参加し「鉄の棒で石灰岩に穴を開け、その穴にダイナマイトを入れて爆破して陣地を造った。石灰岩に囲まれ、敵にやられることはないと言われていた」と振り返る。

 陣地構築の検証や有事を想定した住民用避難シェルター設置などの動きに「まさに沖縄戦前夜の様相を呈している。われわれが体験したことが再び行われようとしている。どんな国の軍隊も住民を守ることはしない」と警鐘を鳴らした。

 大田昌秀県政時、知事公室長として「平和の礎」の建設に携わった高山朝光さん(88)は「自衛隊が配備され、ひとたび基地ができれば武器も持ち込まれ、陣地壕も掘るだろう。だからこそ、危険な状況をつくらないように平和外交で基地を置かなくてよい状況をつくらないといけない」と訴えた。

 琉球大学名誉教授の垣花豊順さん(89)は「戦争は急には始まらない。国家権力が起こすのが戦争。台湾有事と言って戦争を準備する動きがある」と指摘。「『備えあれば憂いなし』ということなのかもしれないが、真の備えとは、教育によって国民の日常に『命どぅ宝』を浸透させることであって壕を掘ることではないのではないか」と話した。
 (座波幸代)