陸上自衛隊が琉球石灰岩の掘削方法の検証を進めていることは、「有事」の際に沖縄や奄美など南西諸島で地上戦が起きるという想定の動きを加速させていることの現れだ。
政府は対中国を念頭に沖縄方面の防衛力を強化する「南西シフト」を推し進める。昨年12月には反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有などを盛り込んだ安全保障関連3文書を閣議決定した。自衛隊のミサイル配備や司令部地下化といった前のめりの危うさに、戦争体験者らは「沖縄戦前夜の様相だ」と警鐘を鳴らす。
沖縄戦を指揮した第32軍は地上戦を前提に地下陣地を構築し、首里の硬い琉球石灰岩層の下に司令部壕を造った。自衛隊の現在の動きは、32軍の姿とも重なる。
苛烈な地上戦で多くの住民を犠牲にし、焦土と化した沖縄の土地を再び「戦場」と想定する政府や自衛隊の姿勢は、「二度と沖縄を戦場にしてはならない」という県民の決意と真逆だ。
(座波幸代)