【読谷】うるま市立石川中学校の生徒が「慰霊の日」を前にした22日、平和学習で県内の戦跡などを訪問した。2年生は沖縄戦で住民83人が犠牲になった「集団自決」(強制集団死)が起きた読谷村波平の自然壕(ごう)「チビチリガマ」を訪ね、平和ガイドの案内で当時の惨状を学んだ。
ガイドの古堅宗孝さん(81)はガマの入り口から見える海を指し「米軍はあの岸から沖縄に初上陸した。海を埋め尽くす軍艦を見て住民はパニックになっていた」と説明した。
同じくガイドの我如古則子さん(70)は「ガマは米軍に見つかったが、当時住民は捕虜になるのは恥であり、女性は強姦され、男性は戦車でひき殺されると教えられていた。ある女の子は自分のお母さんに『今のうちに殺して』と頼み、母が娘を殺す悲劇もあった」と説明した。「従軍看護師が持っていた青酸カリも足りず、あとは鎌や鍬(くわ)で身内を殺し合う、地獄のような状況になっていた」と話した。
我如古さんは波平の住民が避難したもう一つのガマ「シムクガマ」は軍国教育を受けていなかったハワイ帰りの人が説得し、みんな投降したため、「集団自決」が起きずに約千人の命が助かったと説明。「なぜチビチリガマでは住民は投降して命を守れなかったのか。時代背景を知ってほしい」と話した。黙とう中に米軍ヘリコプターが上空を飛ぶ音が響き「戦中、戦後がまだつながっている。その意味を学んでください」と話した。
参加した前原夏海さん(14)は「自分たちと同じような年の子が、今と違う教育による恐怖で亡くなるのは恐ろしいと思う。戦争のことを風化させず、もっと小さい子にも伝えて、二度と起きないようにしたい」と話した。
(島袋良太)