〈150〉タバコとCOPD 息切れ、肺がんリスク上昇


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 みなさんの周りにはタバコを吸っている人はいますか? タバコは、吸った人の肺を傷つけたり、血管を痛めたり、がんのリスクを上げるなど、私たちの体にさまざまな影響を与えます。その中でも本日は、タバコが主な原因で起こるCOPD(シーオーピーディ)という病気についてお話ししたいと思います。

 COPD、聞き慣れない言葉かもしれませんが、日本語で言うと慢性閉塞(へいそく)性肺疾患という肺の病気です。肺の構造が壊れて酸素をうまく血液に取り込めなくなったり、息を吐く力が落ちて二酸化炭素が体にたまって息切れを起こします。

 人はもともと年齢を重ねると肺の機能が落ちていきます。しかしタバコを吸っていると、肺の機能が落ちるスピードが通常よりも早くなります。タバコを吸い続ける限り、肺機能はどんどん落ちていき、息切れにつながります。ところが禁煙をすると、肺機能の落ち方は緩やかになります。

 さまざまなリスクを回避するには若いうちから禁煙することが重要ですが、長年吸っているからと諦めず、今からでも禁煙をしましょう。タバコを吸っている方は、新型コロナ感染症も重症化しやすいと言われています。また、COPDは肺がんのリスクを3~6倍高くします。

 もしタバコを吸っていて、最近歩くと息切れするなどの症状があればぜひ近くの病院を受診されてみてください。また、以前はタバコを吸っていたけれど、今は禁煙しているという方も、年齢を重ねることで肺機能が落ち、COPDの診断となることがあり、日頃から健康診断などでご自身のレントゲンや肺機能を確認しておきましょう。

 COPDの1番の治療は禁煙ですが、それに加えて吸入薬を使って酸素を取り込みやすくして体の負担をとる治療もあります。症状が進んで息切れが強く、血液中の酸素濃度が低い場合には、酸素ボンベが必要になる場合もあります。

 息切れを起こす病気はCOPD以外にもたくさんあります。息切れでお困りの場合は早めに病院を受診しましょう。

(橋岡寛恵、沖縄愛楽園 呼吸器内科)