オリオン工場の冷却水、配管の亀裂から流れ出る 生物への影響はなし 28日の漁や競りは通常通り


この記事を書いた人 琉球新報社
冷却水に含まれる食品添加物の流出から1日が経過し、赤みが残る海面=28日午後2時30分ごろ、名護市の名護漁港

 【名護】27日にオリオンビール名護工場から流出した冷却水が河川や海に流れた問題を巡り、28日も名護漁港では海面が赤くなっている様子などが確認された。流出について、オリオンビールは27日夜、流出元はビールタンク冷却設備に冷却水を送る配管で、その配管に亀裂が入ったと明らかにした。亀裂の原因や流出量を引き続き調査している。名護漁業協同組合によると、28日時点で人体や生物への影響は確認されておらず、同日の漁や競りは通常通り実施した。

 オリオンビールの発表によると、亀裂が入った配管は、今年3月まで約1年半使用していなかったが、点検や整備をした上で、稼働を再開させていた。直近で26日の定期点検の際には、異常はなかったとしている。流れ出した冷却水の成分については、水と食紅、食品添加物のプロピレングリコールを混合させた液体だと明らかにした。

 担当者によると、漏れがあった場合に備え「防液堤」を設置していたものの、設置は約30年前で、一時的な漏れや少量を受け入れるための設備だったという。配管の亀裂によって、防液堤の容量を上回る量が流れ出たとみられ、雨水溝を伝って、河川や海へと広がっていった可能性がある。

 名護漁協関係者によるとによると、27日午後3時半ごろ、オリオンビールの工場長らが漁協を訪れ「有害な物質ではないが、迷惑を掛けて申し訳ない」と陳謝した。同漁協は組合長が出張から戻る29日に今後の対応を検討するとしている。
 (普天間伊織、増田健太)