沖縄、救急搬送困難が那覇で前週比4倍 「現場滞在30分以上」など コロナ拡大


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 新型コロナウイルスの感染再拡大により、那覇市消防局では、19~25日に急患の搬送先病院への「受け入れ照会4回以上」かつ、搬送先が見つかるまで「現場滞在30分以上」となった救急搬送困難事案が前週に比べて4倍の21件となっていることが28日、分かった。

 沖縄県内各消防でも搬送人員が増加している。県防災危機管理課によると、19~25日の搬送人員は計1858人で、前週から186人増加した。人員の内訳はコロナ関連が158人(前週比37人増)、一般救急が1700人(同149人増)だった。搬送人員は流行第7波を経験した昨年7月10~18日の1922件に迫りつつある。

 各医療機関では入院患者の増加で病床確保が難しくなり、救急医療を制限する病院もある。県内各消防のまとめでは19~25日までに搬送時の「受け入れ照会4回以上」61件(前週比13件増)、「現場滞在30分以上」100件(同29件増)となるなど、患者の負担も増加している。

 那覇市消防局などによると、近隣病院への搬送要請が断られる事例も目立つという。南部から中部の病院へ搬送するなど、医療圏域を越える事例も増えつつある。

 県立中部病院救急科副部長の山口裕医師によると、同院救急救命センターでは、救急搬送や自ら病院を訪れる受診者が100人を超えるのは主に土日や連休中だったが、6月中旬以降は平日でも度々100人を超えるようになった。

 入院するのは、感染により基礎疾患が悪化した高齢者だけでなく、コロナ以外の呼吸器系ウイルス感染症を患う小児も増えている。医療現場では病床や医療従事者不足が常態化しており、医療者の負担感が増している。

(嘉陽拓也)