コロナ拡大で小児医療が限界間近に 重点病院の医療従事者565人も休職で現場が逼迫 県医師会、緊急会見で感染対策を呼び掛ける


この記事を書いた人 琉球新報社
新型コロナの拡大で医療機能が低下しているため、県民に感染対策を呼び掛ける県医師会の安里哲好会長(左から3人目)=29日、県庁

 新型コロナウイルスの感染拡大によって各医療機関で病床確保が困難になり、一般診療を制限する事態になっていることを受け、沖縄県医師会は29日、県庁で緊急会見を開いた。県民に感染対策を呼びかけ、医療界には地域全体で患者に対応する必要性を強調した。

 安里哲好会長は、県内の入院患者が930人を超え、重点医療機関で休職している医療従事者が28日時点で565人となったことを説明し「医療現場は極めて逼迫している」と強調した。病床や人員が慢性的に不足する状態が続けば「救えるはずの命を救えなくなることが本当に起こり得る」と訴えた。

 同席した高山義浩医師(県立中部病院)は「流行はもう一段厳しい状況を迎える」との見通しを説明した。すでに医療資源が限られている小児医療は限界に近く、周産期や透析の医療体制も支えきれなくなる恐れがあるという。

 また、多くの高齢者を支える介護現場が崩壊すれば、ドミノ式に医療崩壊が起きることも想定されるため、「県民全体で基礎疾患ある人を守ることが重要」と呼びかけた。
 (嘉陽拓也)