訪中ビザ簡素化を 玉城デニー知事が中国の李首相に要請 李首相「検討したい」 北京


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中国の李強首相(右)と会談する河野洋平会長。左は玉城デニー知事=5日、北京の人民大会堂

 中国を訪問している日本国際貿易促進協会(国貿促)の代表団は5日、北京の人民大会堂で中国の李強首相と会談した。代表団顧問として同席した玉城デニー知事は、習近平国家主席の最側近で共産党序列2位の李氏との会談で、新型コロナウイルスの影響で中国と沖縄を結ぶ直行便が運休したことで、中国人観光客が激減しているとして「経済・文化交流に影響が生じている。ビザ取得手続きの簡素化、直行便の復旧について協力をお願いしたい」と、経済交流活発化に向けて支援を求めた。

 李首相は、課題解決に向けて「関係部門に指示を出し、検討したい」と回答した。県によると、玉城知事が要望した項目は、事前に概要を中国側に伝えてあることから、李首相の回答も調整した上で準備されていたと考えられ、特にビザ手続きの簡素化については実現が期待される。

 玉城知事は、琉球王国時代から福建省との交流があることに触れ「経済、文化、教育の面で交流してきた。今後も、特に若者の交流をしていきたい」と話し「日本と中国の友好関係に貢献したい。安定的、建設的な対話によって地域の平和が保たれるようにしたい」とも述べた。

 李首相は「民間交流の重要性については良く知っている。沖縄と福建省の交流を支持したい」と応じた。

 5日昼、玉城知事は北京沖縄県人会との昼食会に参加し、会員に「沖縄と中国の架け橋となり、各界で活躍することを期待する」と激励した。

 今回の訪中に先立ち、県議会6月定例会の代表質問、一般質問では玉城知事に訪中の意図などを問う質問が多くあった。玉城知事は「経済文化交流を推進し、相互理解を深めることを目的としている」と答えていた。

 国貿促の訪中団に県知事が参加するのは5回目。2015年から17年まで3年連続で参加した翁長雄志前知事は、15年と17年に李克強首相(当時)と面談し、那覇―福州の定期便運航など経済交流の活発化などを要望した。

 玉城知事が19年に訪中した際には胡春華副首相(当時)と面談した。
 (沖田有吾)