平和への思い、世代超え 山田春子さん(7) 捕らわれた日<読者と刻む沖縄戦>


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現在の中城村当間。「下ヌ当間」(吉の浦会館付近)が戦後の中城村の出発地となった

 山田春子さん(94)=中城村=は沖縄中央病院で忙しく働きました。仕事に慣れると週末には家に帰り、母の手伝いをしました。学童疎開で熊本にいた弟も戻り、家族は喜びました。母マツさんも懸命に働き、子どもたちを育てました。

 《わが家の戦後の生活は父を亡くし、母ひとりで苦難な毎日でした。時を経て、子どもたちも成長し、何年か楽しい日々を過ごしていましたが、戦後の苦労がたたったのか、母は療養生活を送るようになり、長くは生きませんでした。》

 山田さんは体験記の冒頭に、こう記しています。

 《いつの間にか歳月は流れて あの激しい戦火の中を九死に一生を得て 今年で78年になる。

 命ある限り子や孫たちに平和の尊さを伝え続けたい。

 毎年この時期になると、あの大戦を思い出し 悲惨な一コマ一コマが頭の中でぐるぐる駆け巡る。》

 今年2月で94歳になりました。「この年になると戦争体験を話すのもつらい作業です。でも体験者は、生きている限り平和の大切さを伝える義務があると思っています」と語ります。

 今回、めいや孫、ひ孫たちが体験記づくりを手伝いました。世代を超えて、山田さんの平和への思いは伝わっています。


 山田春子さんの体験記は今回で終わります。次回から新城啓一さんです。