「子どもたちが悲しい思いしないため」提訴 里親の委託解除、損害賠償訴訟 那覇地裁で初弁論 沖縄県側は請求棄却求め


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
那覇地裁

 生後2カ月から5年以上養育していた児童の里親委託を2022年1月に児童相談所から解除された那覇市の元里親夫妻が、解除までの県側の対応が違法だったとして、県に計300万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が6日、那覇地裁(福渡裕貴裁判長)で開かれた。元里親の男性が「今後、里親に預けられる子どもたちが二度と(私たちと)同じ悲しい思いをしないですむように、本訴訟を提起している」と意見陳述した。県側は請求の棄却を求めた。

 次回期日は9月19日に指定された。一方、第1回弁論の終了後、夫婦側の弁護士は、6月下旬に県側から調停で話し合うことを提案されたと記者団に明かした。児童との面会交流といった夫婦側の要望などが議論されるのであれば、調停も検討するとした。

 訴状によると、児相は16年夏に児童を夫妻に里親委託した。21年2月、実親が子どもを引き渡すよう求めていると夫妻に伝え、同3月には生みの親の存在を伝える「真実告知」を求めるようになった。夫妻側は児童の発達の特性を理由に告知時期の調整を求めた。児相は応じず、実親が委託の同意を撤回したとして、22年1月に夫妻の委託を解除した。