FIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)2023の沖縄開催決定に貢献した、日本バスケットボール協会(JBA)前会長で日本トップリーグ連携機構会長の川淵三郎氏(86)と日本協会会長の三屋裕子氏(64)が6日までに、琉球新報の取材に応じた。W杯候補地として沖縄を挙げたことについて、川淵氏は「日本に最高のアリーナができる話があった。最初からここしかなかった」と明かした。
2016年5月、川淵氏はアリーナ建設を激励するために沖縄市長の桑江朝千夫氏を訪ねた。同年11月に桑江氏に電話を入れ、W杯招致の話を持ちかけた。「(アリーナ建設の話と)うまくマッチングして、そのタイミングでW杯は沖縄でという話になった」。招致活動はここから始まった。
アリーナ建設を推進する沖縄市に関し、川淵氏は「日本一のアリーナを造ろうという話を聞いて、これは絶対に応援に行かなくちゃいけない」と思ったという。桑江氏を後押しし、市民にも建設の意義を訴えた。
日本でアリーナ文化を広める活動を続ける川淵氏。アリーナは試合を見るだけでなく、グッズを買ったり、仲間と食事をしたりする場所だ。「仲間が多く集うことが街の発展ににつながる。強いチームが存在して皆の応援を受けることがないとスポーツビジネスは成功しない」と語る。
さかのぼること2014年。JBAは10月末までに、bjリーグとナショナルリーグ(NBL)を統合できなければ、FIBAから処分が下ることになっていた。川淵氏は水面下で両者の間を取り持ち、リーグ統合の折衝を進めたが、大詰めで破綻。FIBAはJBAに無期限の国際資格停止処分を科した。
同年12月、FIBAは川淵氏にJBA立て直しの白羽の矢を立てる。「頭に来てたからね。この仕事はおれしかできねえだろう」と二つ返事で引き受けた。15年にタスクフォース(特別チーム)が立ち上がり、川淵氏の八面六臂の活躍で新リーグ発足に導いた。その仕事の間に築いたFIBAとの信頼関係が、W杯招致に結実した。
(古川峻)