少年事件の記録破棄、県内家裁でも 「特別保存」ゼロ、02年以降の集団暴行死事件も廃棄 事件の背景検証、困難に


この記事を書いた人 琉球新報社
那覇家庭裁判所

 重大少年事件の記録が全国各地の家庭裁判所(家裁)で廃棄されていた問題で、県内で記録がたどれる2002年以降に発生した少年らによる集団暴行死事件について、記録がほぼ廃棄されていることが12日までに分かった。事実上の永久保存に当たる「特別保存」に該当した事件は県内で1件もなかった。少年事件は非公開で審理され、廃棄により事件の背景や動機など、検証が不可能になった。

 記録がほぼ廃棄されたのは、02年11月に沖縄市、03年6月に北谷町、09年11月にうるま市で発生した集団暴行死の3事件。沖縄市と北谷町の事件で、検察官送致(逆送)され判決が確定した少年の記録は那覇地検に送られた。地検は「個別事件には答えられない」とした。保存期間を定めた刑事確定訴訟記録法によると、保管期間を過ぎたため廃棄された可能性が高いとみられる。

 家裁で廃棄の有無が不明なのは、1992年2月と96年7月に石垣市、93年6月に浦添市で起きた集団暴行死、00年6月に那覇市で発生した暴行死の4事件。事件の基本情報などが記された帳簿「少年保護事件簿」が廃棄され、調べる手がかりがないとした。帳簿の保存期間は20年になっていた。

 最高裁の内規は、一般的な少年事件の捜査書類や審判記録は加害少年が26歳になるまで保存を規定する一方、史料的価値の高い記録などは、特別保存とするよう定めている。

 那覇家裁は、県内事件で特別保存の検討経緯は不明とした。廃棄の見解について「経緯が不明で、個別事案のコメントは差し控える」としつつ、「今後、最高裁において関係する規定の改正などが行われると聞いている。それに従った適切な運用を確保して参りたい」と答えた。
 (金良孝矢)