窓ガラスに衝突し骨折のノグチゲラ、約3年の治療経て森へ 児童ら「たくましく生きて」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【国頭】環境省やんばる自然保護官事務所は10日、2020年に国頭村の住宅の窓ガラスに衝突し救護されたノグチゲラ1羽を放鳥した。放鳥には治療に関わったNPO法人どうぶつたちの病院沖縄のスタッフや地元の小学生らが立ち会い、回復した個体が元気にやんばるの森へ帰っていく姿を見送った。

放鳥されたノグチゲラ=10日、国頭村の村森林公園

 放鳥された個体はメスで大きさは約30センチ、体重は142グラム。救護時は巣立ちから1カ月ほどの幼鳥で、衝突により右側の胸の骨が折れた。当初は飛ぶことや立ち上がることができなかったが、2カ月ほどで弱かった足の握力が回復し、昨年秋ごろからはケージ内で旋回や障害物をよけるように飛ぶ姿を見せるようになった。

 どうぶつたちの病院沖縄の金城道男副理事長によると、今回の個体の治療期間は長かった。一方で窓ガラスに衝突した鳥は死ぬことが多く、生存した場合でも通常は骨折が治らず野生復帰は難しいという。

 ノグチゲラは枝に離されると、すぐに羽ばたいて森の中に飛んでいった。それでも子どもたちは指を差しながら姿が見えなくなるまで見守り続けた。ノグチゲラを初めて間近で見たという児童は「小さいなと思った。もっと大きくなって数を増やし、たくさん見られるようになってほしい」と成長を願った。

 どうぶつたちの病院沖縄の玉那覇彰子研究員は「無事に放鳥できるまで回復し、みんなで見守ることができて感慨深い」と語った。環境省やんばる自然保護官事務所の椎野風香自然保護官は「これからやんばるの森でペアを見つけて、たくましく生きてほしい」と願った。

(武井悠)