沖縄尚学が攻守で圧倒 主将佐野は技術で存在感 中軸ねじ伏せ、東恩納完封 決勝<夏の甲子園2023・県大会>


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 沖縄セルラースタジアム那覇で16日に行われた第105回全国高校野球選手権記念沖縄大会の決勝戦。初回から着実に点を重ねた沖縄尚学が3―0でウェルネス沖縄を破り、2年ぶり11度目の優勝を飾った。代表校決定は全国一番乗りとなった。沖尚は一回に糸数幸輝の三塁打と玉那覇世生の一ゴロで先制すると、四回と八回にも1点ずつ加えた。投げては先発の東恩納蒼が6安打で完封し、春夏連続の甲子園出場を決めた。

ウェルネス沖縄―沖縄尚学 4回1死一、三塁、三塁線にバントし、適時内野安打を決める沖尚の佐野春斗=16日、沖縄セルラースタジアム那覇(大城直也撮影)

 沖縄尚学が高い総合力で甲子園への切符をつかみ取った。今大会は強打で勝利する試合もあるなど長打力も武器の一つだが、決勝では細かな技術で得点を挙げた。存在感を示したのは5番に起用された主将の佐野春斗だ。要所でバント安打を2度成功させるなど2点に絡む活躍を見せ、主将としてチームを引っ張った。

 佐野は今大会、主に下位打線を任されており、中軸での起用は決勝が初めてだった。仕上がり具合が良く、4番仲田侑仁が敬遠で歩かされても、打線の流れを切らさないための比嘉公也監督の采配だった。

 その期待に佐野が精いっぱい応えた。1点リードの四回1死一、三塁で、守備位置が下がっていた三塁前にバント安打を決めると、三走の糸数幸輝が生還し貴重な2点目を追加した。佐野は「先制して次の1点が重要だと思っていた。そこを自分のバントで決められたのは良かった」と振り返った。佐野は八回にも一塁側にバント安打を決めて後続につなげ、3点目を呼び込んだ。

 少ない好機を確実に点に結びつけて勝利し、沖尚が春夏連続で甲子園の舞台に立つ。選抜大会は3回戦で惜敗してベスト8入りを逃した。佐野は「甲子園での借りは甲子園で返す」と春に負けた雪辱を果たすつもりだ。
 (砂川博範)


中軸ねじ伏せ 東恩納完封

完封勝利で優勝を決めた沖尚の先発・東恩納蒼(小川昌宏撮影)

 沖縄尚学のエース東恩納蒼は高打率のウェルネス打線にもひるむことなく、力強い直球を武器に被安打6で完封した。得点圏に走者を背負った場面でも直球で真っ向勝負を仕掛け、強打者を力でねじ伏せた。

 強打のウェルネスを支える中軸を抑えることを強く意識した。四回1死二塁では5番大濱安綺から三球三振を奪った。六回1死一、二塁では4番當銘愛渉を三振、大濱を二ゴロとしてピンチを切り抜けた。最終回も1死から走者を背負ったが、大濱を併殺打に仕留め、歓喜の輪に包まれた。

 今大会5試合に登板し、全て無失点で抑えた。比嘉公也監督も「春からストレートの強度が増している。スライダーも130キロ台に乗るようになった」と太鼓判を押す。

 「無失点で切り抜けることにこだわってきた」と東恩納。六回の大濱との対決では、この日最速の145キロを記録した。「直球の質が良くなってきている。夏の甲子園ではベスト8以上を目標にやっていきたい」。春の選抜大会でなしえなかった目標を見据え、闘志を燃やした。
 (砂川博範)


勝たせることできた

 沖縄尚学の比嘉公也監督の話 勝たせることができて、ほっとしている。東恩納が抑えるか抑えないかが勝負の分かれ道になるかなと思っていたが、エースらしい見事なピッチングをした。甲子園でも沖縄尚学らしいプレーを一つでも多くして、一つでも勝てるようにする。