第32軍壕保存、歴史的事業に 沖縄県が基本方針 沖縄戦の教訓継承へ、資料収集や住民視点の展示で方向性示す


この記事を書いた人 琉球新報社
首里城公園内にある第32軍司令部壕の説明板

 第32軍司令部壕の保存・公開について、沖縄県は18日、今年3月の有識者らでつくる検討委員会の提言書を踏まえ、「第32軍司令部壕保存・公開基本方針」を策定した。沖縄戦の悲惨な体験と教訓を風化させることなく次世代に継承し、恒久平和を発信するため、県の歴史的な取り組みとして進めることなどを定めた。既定通り第1、5坑口の調査や整備を優先的に進め、段階的な壕の保存・公開に向けて取り組む。

 文化財指定は2026年度の首里城正殿復元の時期をめどに取り組みを進める。全体の一括指定に限定せず、段階的な指定も検討する。

 壕の持つ意味などについて調査研究に取り組み、可能な限り日本軍の資料を収集する。米国での資料収集などについても検討する。

 壕の近隣に展示施設を整備し、戦争を起こした構造や体制を知ることで、二度と戦争の悲劇は起こさないという住民の視点に立った展示を検討する。語り部や平和ガイドの育成に取り組む。

 推進体制の強化へ県の平和行政、土木、観光、文化など8課と那覇市の関係3課でつくる第32軍司令部壕保存・公開推進連絡会議を18日に設置した。

 保存・公開に向けては本年度末に有識者委員会を設置し、24年度に具体的な整備範囲や方法などを決定する基本計画を策定する。
 (中村万里子)