出動指令、屋上訓練中で伝わらず…沖縄・島尻消防が救急遅れ 最大28分


この記事を書いた人 琉球新報社
島尻消防組合消防本部・消防署(資料写真)

 【南部】八重瀬町と南城市の一部を担当する島尻消防署具志頭出張所で5日、救急出動の指令2件が伝達されず、出動が遅れたことが分かった。島尻消防組合消防本部が18日、ホームページ(HP)で公表した。出張所の全職員6人が訓練中で、県消防指令センターからの指令が聞こえなかったという。1件目は28分、2件目は15分の遅れがあった。2件とも患者に悪影響はないという。同組合担当者は琉球新報の取材に対し「心肺停止であれば重大なミス」と回答した。

 指令センターの指令は島尻消防署と出張所に入る。具志頭出張所は5日午後3時11分から庁舎屋上で全職員が救助訓練をしていたため、島尻消防署の通信担当者に、救急出動や火災発生など緊急時は職員の携帯電話に連絡するよう伝えていた。

 通信担当者が午後4時44分に別件で職員に電話し、連絡がついたため、訓練終了の報告がないもかかわらず終了したと勘違いした。同出張所は訓練にかかる時間が未定だっため、事前に終了時間を伝えていなかった。

 午後4時52分に90代男性の発熱で1件目の救急出動の指令が入ったが、通信担当者は訓練が終了したと勘違いしたまま、通常通り救急出動したと誤認し、出張所職員に連絡しなかった。午後5時5分に80代男性の血液検査ため救急要請があった際も連絡しなかった。

 午後5時14分に指令センターから消防署へ出動を確認する無線が入ったことで通信担当者が出動していないと気づき、出張所職員の携帯電話に連絡した。出張所は午後5時20分、救急車2台を出動させた。

 島尻消防組合によると、男性2人は入院治療中で、搬送先の医師は出動遅れによる悪影響の可能性はないとの見解を示しているという。同組合はHPで「住民の皆様にご心配をおかけした」と謝罪した。

 同組合担当者は「無人になることは好ましくないが、その際は島尻消防署の通信員に伝えて、緊急時に対応できるようにしていた」と説明した。再発防止策として、事務所に職員を最低1人は待機させ、出動指令の確実な伝達と出動確認を徹底するという。
 (上江洲仁美)