会員制の米系大手量販店「コストコ」が、来年8月の沖縄県内での開業を目指して準備を進めている。店舗の建設地は南城市玉城垣花にある市つきしろインターチェンジ(IC)周辺地区南側で、土地区画整理事業地の中心部だ。市はコストコ「沖縄南城倉庫店」を呼び水に事業地内に企業を誘致し、雇用創出や定住人口の増加を図る。コストコ出店について、周辺住民からも「地域活性化につながる」と肯定的な声が多い。南城市のまちづくりの中核を担う場所になりそうだ。
市は6月29日、コストコホールセールジャパンとの共同記者会見で、地権者らで構成する組合が施行する土地区画整理事業のゾーニング図案を発表した。18.6ヘクタールの施行面積に「商業」「沿道サービス」「観光・交流」「戸建」の四つの区画を整備する予定だ。すでに県内外数十社の企業から出店に興味を示す連絡が来ているという。地権者は70人で、施行期間は2026年3月までを予定している。
コストコは事業地の中心に位置する「商業」区画に建設する。地元からの採用を中心に300~400人の雇用を予定し、来客目標は1日3千~6千人。古謝景春市長は会見で「若年者の人口は増えてきているが、(市には)企業がなく雇用環境が厳しい」と話し、コストコ出店による雇用とにぎわい創出に期待を寄せた。
南城市は市の中央部を市民生活の中核となる場所に位置づけ、まちづくりを進めている。コストコ建設地は、この中央部の一部で、県が整備中の南部東道路・南城市つきしろICに近接する。南部東道路は、南風原町喜屋武~南城市玉城垣花の約7.4キロを結び那覇空港自動車道に連結する。那覇空港自動車道・小禄道路の工事が完了し、南部東道路が整備されれば、那覇空港からつきしろICまで30分圏内と試算され、観光客の増加が見込まれる。
古謝市長は南城市が目指す長期滞在型の観光に触れ「外国の方々がキャンプをして長期滞在できる施設をつくろうという話もあり、観光客がコストコで食料物資を買えるようになると地域の経済発展にもつながる」と話した。
コストコ開業について、建設地の近所に住む男性(73)は「渋滞の心配もあるが、それよりも期待の方が大きい。行ってみたいし、地域の活性化につながる」と喜ぶ。1人暮らしの女性(83)は「西原に住む孫たちは喜ぶと思うが、会員制だから行くか分からない」と語る。
つきしろ自治会の新城辰夫会長(82)は「市内外で働いている住民で定年後にコストコで働きたいという声も多い。若い人は就職で那覇や本土に行ってしまうが、大きな施設ができれば戻ってくるだろう。非常に期待している」と力を込めた。南城市のさらなる発展に向けて地元の期待は高まっている。
(上江洲仁美)