防衛白書、南西軍備強化が随所に 日米共同演習や国民保護をコラムで強調


この記事を書いた人 琉球新報社

 【東京】政府は28日の閣議で、2023年版防衛白書を決定した。22年末に決定した国家安全保障戦略など3文書の内容を反映した初めての防衛白書。在沖米海兵隊の新たな部隊編成や自衛隊増強など沖縄の南西防衛体制の強化方針が随所に記載された。

 コラムとして項目を設け、県内や奄美群島で展開された日米共同統合演習「キーン・ソード23」を解説。訓練を写真付きで紹介し「(演習を通じ)地域の平和と安全に貢献するため、日米共同による抑止力・対処力の一層の強化に取り組んでいく」と記載した。

 別のコラムでは、国民保護と防衛省の関わりについて初めて取り上げた。主たる任務は「武力攻撃を排除し、国民への被害を局限化する」とし、警察や消防と連携して国民保護に携わると記した。那覇に拠点を置く陸上自衛隊の第15旅団を師団化することも国民保護の実効性向上につながると強調した。

日米共同演習の「キーン・ソード23」の一環で、米海兵隊のオスプレイを使用した搬送訓練を行う自衛隊員ら=2022年11月15日、米軍キャンプ・フォスター(ジャン松元撮影)

 自衛隊で南西地域への輸送を完結できるよう、大型のクレーンやフォークリフトなどの荷役器材やコンテナトレーラーなどの車両を購入する計画も明記した。自衛隊が利用できる拠点を増やすため、民間の空港や港湾の利用や米軍との施設共用について拡大を図る方針を強調している。

 在沖米海兵隊については新たな運用構想「遠征前方基地作戦(EABO)」を推進しており、25年までに既存部隊を改編してEABOを中核的に担う「海兵沿岸連隊(MLR)」に改編することなどを紹介した。

 中国が22年8月の演習で波照間島や与那国島周辺の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイルを落下させた問題にも触れた。国家防衛戦略の記載に合わせ「地域住民に脅威と受け止められた」と記述した。
 (明真南斗)