家族の「ぬくもり」活写、浦添工業に優秀賞 写真甲子園2023 組み写真選びが難航、悔し涙にあふれた思い


この記事を書いた人 琉球新報社
第30回写真甲子園2023で優秀賞に輝いた浦添工業高校の(左から)上江洲心音さん、安里すずらさん、金城花音さん=28日、北海道の東川町

 【北海道で嘉数陽】北海道を舞台に全国の高校生が写真の腕を競う第30回写真甲子園2023本戦は28日、最終審査会が開かれ、浦添工業は3位相当の優秀賞に輝いた。安里すずらさん(17)、上江洲心音さん(17)、金城花音さん(16)は「家族の何気ない幸せの風景」を撮ったが、8枚一組の組み写真作りで意見をまとめることができず、提出が遅れて減点対象となった。閉会式の後、「優勝しか狙っていなかった」と3人はあふれる悔し涙を止めることができず、肩を震わせて唇をかみしめた。

 最終審査のテーマは「えん」。3人は初めての北海道で優しく接してくれる道民の人柄に感動し、「最終審査に出す作品は、人のぬくもりを表現したものにしよう」と初日夜に決めていた。作品名は「ぬくもり」。納得のいく写真は多く撮れたが、一枚一枚に思い入れがあり、疲労が蓄積された中で意見をまとめることができず、制限時間内に8枚を選びきれなかった。

 審査員の写真家、鵜川真由子さんは3人の作品について「家族の優しい時間を写すことができている。家族の優しさも伝わるし、3人の家族を見詰める視線にもぬくもりを感じる」と評価した。

 審査会場には、被写体となった家族が駆け付けていた。表彰式の後、会場から出てきた3人に、撮影で仲良くなった子どもたちが駆け寄った。「おめでとう」。満面の笑みを向けられた3人はさらに涙があふれ、必死に笑顔をつくりながら、か細い声で「ありがとう」と伝えた。

 安里さんは「悔しいが、みんな満足のいく写真は撮れたと思っている。撮影には満足している」と、最後には堂々と胸を張った。

 今大会には584校から応募があった。3位相当の優秀賞は浦添工業を含めて5校。優勝は大阪府立生野高校、準優秀賞は城北埼玉高校だった。