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平川慧(コザ3年)県勢初の短距離王者 陸上男子400M 最後の総体、大一番で「47秒台の壁」ぶち破る


この記事を書いた人 琉球新報社
男子400メートルで優勝し、表彰台で笑顔を見せるコザの平川慧=2日、札幌市厚別公園競技場(ジャン松元撮影)

 【北海道総体取材班】全国高校総合体育大会・北海道総体第11日は2日、北海道各地で行われた。札幌市厚別公園競技場で行われた陸上では男子400メートルで平川慧(きら)=コザ3年=が46秒63で頂点に立った。今大会で県勢初めての優勝となった。

 100メートル、200メートル、400メートルの短距離種目での県勢の全国総体優勝は初めて。

 優勝後、平川は「本当に(優勝の)実感が湧かないのであらためて振り返って、ちょっとうれしさに浸りたい」と笑顔だった。

男子400㍍決勝 46秒63の記録で優勝、ガッツポーズでゴールするコザの平川慧=2日、札幌市厚別公園競技場(ジャン松元撮影)

自身の持つ県高校記録を大幅に更新

 県勢で誰もなし得なかった、短距離種目での全国総体優勝を決めた平川慧(コザ3年)。レース前から「きょうあるぞ」と感じて臨んだ決勝は終始リードした。勝利を確信すると、右腕を北海道の大空に高々と掲げてゴールした。自らの県高校記録(47秒05)を更新する46秒63。決勝唯一の46秒台をたたき出す圧勝だった。

 予選から最後は流しながらも万全のレース展開で、余裕さえ感じる足取りだった。準決勝後も「疲労感も少なく、落ち着いて、自信を持っていた」。決勝はスタートから大きなストライドを使った走りで一気に加速し、バックストレートで先頭に立った。残り100メートルもスピードは落ちることなく、後続をそのまま振り切った。

 中学時代に400メートルで全国王者となった平川。インターハイの400㍍で県勢の優勝がないと知り、高校1年の北信越総体で3位に入ったことで、「自分が達成するしかない」と覚悟を決めた。しかし2年の四国総体でまさかの予選敗退。集大成となることしは200メートルに絞ることも考えたが、「後悔しないように」と400メートルの出場も決めた。

 不安や2年生の時の怖さもあったが、自身がなかなか突破できなかった「47秒台の壁」をぶち破る自己新記録の走りを見せた。「(県勢初優勝を)最後の全国総体で達成できたのは、自分の競技人生の中で一番大きな収穫だったと思う」と喜びをかみしめるように語る。

5日の200Mに照準

 5日には200メートルも控える。決勝後に一時、起き上がれなくなるほどの疲労にも襲われた。

 「今は本当に休みたいです」と笑顔を見せながらも、「200メートルは県記録を目標に置いている。疲労をとって自分の納得いく記録を出したい」。沖縄県の陸上の歴史に新たな1ページを刻んだ17歳は、次の目標を見つめている。

 (屋嘉部長将)