4日に再び沖縄地方を暴風域に巻き込んだ台風6号。影響の長期化で県内の物流が停滞するなど経済活動に支障を来している。2日の接近による停電で一部製造業の生産が止まるなど供給遅れも発生した。関係者からは「早く通常通りの稼働ができればいいが」と切実な声が漏れるなど、想定外の損失に懸念が広がっている。
琉球海運は7月30日から船舶入港が停止している。東京や大阪を結ぶ2便、博多や鹿児島を結ぶ10便がいずれも欠航。積み荷は生鮮食品や冷凍食品などの食品類が主で、満載にした状態で県外の港で待機している状況が続いているという。
担当者は「供給にだいぶ遅れが出ている。(別会社では)小麦や鉄製品の専用船もある。影響は広がっていると思う。この予報だと日曜日(6日)まで確実に入ってこられない」と吐露した。
沖縄急送は7月28日を最後に宮古や石垣に物資を運搬できていない。通常はコンテナ68基分の積み荷を仕分けする那覇市港の冷蔵倉庫は、ほぼ空の状況だ。仲間辰也那覇港営業所長は「いつもなら荷物の仕分けで忙しいが、何もない状況だ」と戸惑いを隠せない。
食品製造のまえさとは1日夕から、もやし工場の停電が発生し、全て廃棄処分となった。次の種子をまいたが、生産できるか懸念も残る。
豆腐やこんにゃくの原材料は在庫を確保しているが、暴風警報発表で2日は生産を切り上げるなどしたため、一部供給遅れが出た。再接近でさらなる供給遅れも懸念される。前里雅也社長は「工場を稼働すべきか判断が難しい」と漏らした。
沖縄協同青果によると、3日の競りで県産野菜は少量だった。4日は通常並の入荷量だったが、状態の悪い品も多いという。県外産は9割が船による入荷のため、在庫を消費し続けている状況だ。入荷が10日以降にずれ込み、小売りや卸売業では野菜の在庫不足が深刻化する恐れがあるという。
肉畜の加工流通を行う県食肉センターでも物流停止や作業がままならないことから混乱している。停電などで搬入を断られることもあるほか、流通の停止で台風前に食肉処理した品の一部は廃棄になったという。
(謝花史哲、福田修平)