沖縄地方を通過したはずの台風6号は4日、Uターンして再び沖縄地方を暴風域に巻き込み、猛威を振るった。バスやモノレールは運休し、海・空の便も欠航。各地で停電や断水が続く上、小規模離島は物資が途絶え、食料不足への危機感が増す。長期化する被害に、県民からは「台風もう来ないで」と悲鳴が上がる。
台風6号の再接近に伴い、4日午後に再び暴風警報が発表された沖縄本島。避難所も再び設置された。「誰が悪いわけではないが、台風は戻ってこないで早くどこかへ行ってほしい」。避難者や観光客らは疲労困憊だ。
豊見城市の安仁屋宗順さん(76)は1日から市役所の避難所に避難し、4日目となった。ともに暮らす家族2人は県外に滞在中だ。「避難所にはバイクで来た。3日に帰ろうと思ったが、風にあおられて危なかった。まだ家には一度も帰ってない」と身をすくませた。長引く避難生活に「体が痛くなってきた」と腰を押さえた。
3泊4日の予定で家族旅行に来ていた橋本洋子さん(47)=埼玉県=は、帰りの航空便が2度欠航し、5泊も延泊するはめに。ホテル代やレンタカー代などで追加出費は1日3万円。「次に予約した便も無事に飛ぶか分からない。楽しい旅行にしたかった」とうなだれた。
名護市で鮮魚店を営む70代男性は、台風の影響で数日魚が入荷されず「売る魚がない」と困惑する。台風が通過した後のセリの値段が上がることや物価高騰にも触れ「苦情が来るので値段は上げられない。大きい店はいいが、うちのような小さい店は厳しい」とため息をついた。
中城村のうえむら病院(産科など)は3日夕から断水した。医療機器の洗浄や消毒に必要な水が確保できなくなる恐れがあり、4日午後は休診した。上村哲院長(60)は「母子に安全な環境を提供できない状態では休診もやむを得ない」と話した。同院では2日未明から3日まで停電も発生し、非常用電源で、4人の出産に対応した。
うるま市勝連平敷屋では1日夜から停電が続く。同区に住む50代の女性は「冷蔵庫の食料が駄目になっているが、部屋も暗くて見えないため、片付けができない」と嘆いた。また、「お風呂も一度ガスコンロで沸かしてから使っている。早く復旧してほしい」と願った。
(岩崎みどり、増田健太、武井悠、名嘉一心)