沖縄「もううんざり」Uターン台風、避難5日目の家族も 大規模冠水や交通寸断など爪痕深く 


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避難所でテレビを見たり、遊んだりして過ごす子どもたち=5日午後4時7分、名護市仲尾次(小川昌宏撮影)

 7月末から沖縄地方全域に影響を及ぼし続けている台風6号。再び暴風域に入った沖縄本島などでは5日も大荒れの天気に見舞われた。停電などによる混乱が続き、避難生活が通算5日になった夫妻も。降り続く雨や高潮の影響で一層被害が広がる懸念もある。県民からは「もううんざり」「早く普段の生活に戻りたい」との悲鳴が漏れ、疲労が色濃くなっている。

 台風6号が沖縄地方に再び最接近した5日、本島各地では長引く停電や断水、冠水への対応に追われたり、各市町村が設置した避難所に身を寄せたりする人の姿があった。

 満潮の時間帯を迎えた午前9時半ごろ、名護市の数久田や東江、山入端などで大規模な冠水が発生し、通行ができなくなる箇所も複数あった。山入端では国道449号などが通行できなくなった。近隣のホテルでは事前に数百人分の食材や水を備蓄し、利用客の車を高台に移動させて被害を逃れた。従業員(62)は「前に同じような経験をしたメンバーが残っていたので対応できた。この教訓をまた次に生かしていきたい」と話した。

 名護市役所の羽地支所には、携帯電話を充電しようと、子どもたちを連れて訪れた森幸子さん(40)がいた。1日夜から自宅が停電しているといい「洗濯物がたまり困っている。友人の協力で4日ぶりに洗濯できたが、服がない」と困惑した表情を浮かべた。

 宜野湾市は4日夕から、今回の台風で2度目の避難所を赤道老人福祉センターに設置した。この日は11人の避難者が身を寄せた。市野嵩在住の71歳の男性は4日に自宅が停電し避難して来た。ぜんそくを患う男性は「一人でいるよりも、スタッフがいるのでかえって良かった。安心して台風をやり過ごせることに感謝したい」と述べた。

 長引く停電の影響で一時150人を超える住民が避難していた与那原町。この日は5世帯7人が避難していた。佐藤大志さん(31)、石川佐藤フラビアさん(42)夫妻は避難所生活が通算5日目だが「1カ月ぐらいに感じる」とぐったりとした様子。ブラジル出身で現在妊娠中のフラビアさんは、町内の業者が無償で弁当を用意したことに触れ「台風は怖いが、住民の優しさに触れた。いつか恩返ししたい」と語った。

 (慶田城七瀬まとめ)