台風6号と本島北部に発生した線状降水帯の影響によって、6日も県内各地で土砂崩れや浸水の被害が相次いだ。暴風警報が解除された後も被災の危険性を考慮して避難所にとどまるなど、被害は長期に及び、深刻化している。南北大東村は同日午後から再び暴風域に入り、避難所が再設置された。
【中北部】うるま市川田では高齢者施設の裏の崖が同日午後2時半ごろから幅20メートル、高さ40メートルにわたって崩れた。土砂は擁壁を超えて施設駐車場に流れ、車2台に覆いかぶさった。うるま市消防本部によると当時12人が施設内にいたがけが人はなく、建物の損壊はない。
崖が崩れた時に施設内にいたという同施設代表の夫の仲宗根朝昭さんは、「雨で外がよく見えなかったが1時間くらいかけてゆっくり崩れた。木がバキバキと折れる音はしたが大きな音はなかった」と語る。擁壁を乗り越えたところで利用者を市役所へと避難させた。「擁壁がなかったら建物も危なかった」と胸をなで下ろした。駐車場が使えない状態で「当分は(利用者を)受け入れられない」と再開の見通しは立たない。「再び崩れる心配もある」と話した。
うるま市宮城島桃原の県道10号付近では、近い距離で2カ所の土砂崩れがあった。道路は通行できない状態になっている。2カ所の土砂崩れの間に車1台が取り残されたが、運転手1人は歩いてその場から避難し、けがはなかった。
名護市勝山の安和岳登山道入り口付近の山で土砂崩れが発生し、山中にあった小屋が傾いた。小屋の持ち主の安村健一さん(63)は「明日はどうなっているか」と小屋を見つめた。現場を確認した勝山区長の岸本一郎さん(58)によると、土砂が崩れた付近には民家が数軒あるが、住民らとは連絡が取れ、安全が確認できたという。同市呉我の国道505号でも土砂崩れで、通行規制が敷かれた。
名護市屋部の具志堅仁志さん(51)は6日早朝、自宅の床下浸水に気付いた。自前の排水ポンプでくみ出そうとしたが増水に追いつかず、市消防団屋部分団に助けを求めた。消防団が駆け付けた時には膝上ほどまで上昇していたという。「消防団が来なければ床上まで来ていたはず。また雨が降った時が心配だ」と表情を曇らせた。
名護市山入端の海岸沿いを通る国道449号が冠水し、名護方面から本部向けに走る車がUターンしていた。山入端区長の岸本敏男さん(48)は「3~4軒が床下まで浸水したが、5日の午前中には解消した」と話した。一方、6日午後1時半時点でも海岸に近い一部の国道が冠水しており、軽自動車やトラックが取り残されていた。
冠水した国道付近のホテルでは、客室の一部で浸水があった。約10室でベランダの排水溝が飛来物でふさがり、水が部屋の中まで流れてきた。従業員が6日朝に確認し、復旧作業に取り組んでいる。この部屋に宿泊客はおらず、客への被害はなかったが、駐車場で車の窓ガラスが割れる被害があった。(金盛文香、金城大樹、大嶺雅俊、座波幸代)