【台風6号】「客は来てくれるのに商品がない」 沖縄本島の周辺離島、食料品不足 停電で廃棄も


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空になった棚がならぶAコープ久米島店=6日午後5時半ごろ、久米島町謝名堂(盛長容子通信員撮影)

 台風によるしけで、生活物資を運ぶ船舶の欠航が続く周辺離島では、長期間の停電が食料品不足に拍車を掛けている。冷蔵庫が使えず、食材の廃棄を余儀なくされているからだ。スーパーや宿泊施設では利用客への食事提供に頭を抱える。台風は遠ざかりつつあるが、日常生活の立て直しには時間がかかりそうだ。

 久米島町謝名堂のAコープ久米島店の島袋義則店長は「野菜、魚、肉、パン、牛乳などほとんどない」と話す。2日夜から約1日続いた停電で、チーズや加工食品などの商品を廃棄した。6日は朝から開店。短時間の停電を繰り返したが、客足は途切れない。「通常の3倍くらいの来店だ。特に総菜や弁当が売れているが、食材が足りない。お客さんが来てくれるのに商品がない」と苦しげだった。

 渡嘉敷村の當山清彦さん(38)は、営む旅館と自宅が7月31日から停電し、旅館は4日、自宅は6日午後に復旧した。固定電話はつながらず、携帯電話も電波が不安定な状況が数日続いた。旅館には工事関係者ら9人が宿泊中だが、停電で冷蔵・冷凍庫に保管していた食材の約半分を廃棄処分し、残った食材で食事を作る。「このままでは宿泊客用の食事のめどが立たない」と話した。

 伊平屋村の西銘真助さん(72)の自宅も4日の約2時間を除き、2日夜から6日午後5時半頃まで停電が続いた。「冷凍庫の食材も全てだめ。私も70代だがこんな迷走台風は初めてだ」とため息をついた。(岩崎みどり、岩切美穂、武井悠)