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浜千鳥、新解釈の舞を披露 「歌を深く知ると表現が変わる」 旅人の歌、男踊りで表現 沖縄・うるま


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
片袖を脱いだ男性衣装に、こぶしで踊る男踊りで浜千鳥を表現する琉舞サークルのメンバー=7月27日、うるま市の石川地区公民館

 【うるま】うるま市石川東恩納の玉城流琉舞うるま会儀武八重子道場の儀武会主はこのほど、「浜千鳥」の新たな解釈を唱え、衣装や踊り、歌に変化を加えて披露した。7月27日、うるま市の石川地区公民館で開催された第9回趣味クラブ等舞台発表会で、儀武さんが指導する琉舞サークルが踊った。

 浜千鳥はうるま市の赤野浜が発祥地とされ、1番の歌詞が刻まれた歌碑がある。首里王府を追われ、具志川へと逃亡した士族の男性が、故郷をしのんで歌ったとされている。

 現在多く歌われる浜千鳥は1番から3番まで旅人の郷愁を歌う内容で、4番だけは恋歌とも言われる。衣装は帯を締めない着物の着方「ウシンチー」をし、すり足やこねり手などの女踊りで表現するのが特徴だ。

 儀武さんは恋歌や女踊りに疑問を呈す。保存会への聞き取りや赤野浜に伝わる口承を研究し、旅人の歌として男踊りで表現することに挑戦した。

 旅人の歌の解釈を貫くため、4番を歌わず最初と最後に歌を付け足した。「赤野浜」との単語を入れ、赤野浜での旅人の行動、感情を歌った内容だ。踊りもすり足をせず、こぶしで踊るなど男踊りに変えた。片袖を脱いだ男性衣装に、旅人が履く草履を再現した。

 儀武さんは浜千鳥の歌と表現に長年違和感を持っていた。琉球古典芸能コンクールの審査員に選任されたことをきっかけに、指導の責任を強く感じるようになる。浜千鳥はコンクールでもよく課題曲となる。「歌を深く知ると表現が変わる」と話し、浜千鳥を理解し直す作業を始めた。約半年の時間をかけ新たな表現を完成させた。

 儀武さんは「地元の伝統文化を掘り起こしたい」との思いも強い。今回の挑戦が「問題提起になるといい」と語る。今後も地域に残る歌を調べ、新たな挑戦をしていく予定だ。(金盛文香)