【北海道総体取材班】全国高校総合体育大会・北海道総体第16日は7日、各地で競技が行われた。なぎなたの団体試合は首里が決勝まで勝ち上がり、決勝で清教学園(大阪)を1―0で下して優勝した。首里は昨年に続く2連覇を達成した。団体の優勝は5回目。テニス女子ダブルス決勝は水口由貴・新城英万(沖縄尚学)が6―4、6―2で井上・上野(広島・山陽女学園)を破って優勝した。優勝は2017年の我那覇真子・前田優歩(沖縄尚学)以来6年ぶり。男子シングルス決勝は、豊見城市出身の宮里琉星(長嶺中―宮崎・佐土原高2年)が2―6、0―6で大岐(3年)との同校対決に敗れたが、堂々の準優勝をつかんだ。自転車のチームスプリント予選の北中城は22位だった。
城間、勝利へ殊勲の一本
団体試合決勝で首里は、持ち前の団結力と「みんながエース」を合言葉に誰一人、相手に旗を揚げさせなかった。副将の城間こころの一本勝ちを、大将の泉水ほのかが引き分けで守り切った。大きな拍手が鳴り響く中、会場を後にした首里の選手たち。冷静に振る舞っていたが、わずかに聞こえるすすり泣きから、「良かった」と安堵(あんど)の声が漏れそして号泣。互いに抱擁しながら、健闘をたたえ合った。
決勝は先鋒の富川亜紀、次鋒の栄野川美羽、中堅の平安名はなが果敢に攻めながらも、控えの大木ろまん、具志堅茉緒の応援の力も借り、負けることなく流れをつないだ。みんなの思いが残ったコートに副将の城間こころが立った。
相手は個人8強に入りした強敵で、みんなが警戒していた選手だった。「無理して一本取りにいくよりも次につなげよう」と試合に挑んだ城間。相手が面を合わせてくる中で、ふとした瞬間に警戒が緩くなることを見抜いた。
「自信のある打ち込みをしたら取れる」。審判から「待て」の合図がかかり、一度距離を取った。始めの合図がかかった瞬間に、「先手必勝」と先に動き、狙い通りの面を決め、会場もどよめいた。この一本を大将・泉水が守り切った。勝利を決める一本を奪った城間は「高校3年間の集大成の一本だった」と満足そうに振り返った。
演技の優勝と準優勝、個人試合8強、そして団体優勝と多くの結果を残した首里。それでもみんな「団体の優勝が一番」とうれしそうに声をそろえる。北海道の地で再確認した団結力での2連覇をみな笑顔で誇った。
(屋嘉部長将)
「団結力」育て上げる 栄野川監督、2連覇導く
昨年に続き首里を団体試合で2連覇に導いた栄野川里美監督。試合後、選手たちにねぎらいの言葉をかけ、目には光るものもあった。「(連覇した)実感がまだなくて。ただただ、ほっとしている」と心情を吐露した。
現在のチームの選手は小中学生で全国上位の成績を残していた実力者が多かった。そのため当初は、団体戦であっても「自分が勝ちたい」というのが前に出てしまい、個人で戦っているような感じだった。「団結力は最初はなかった」チームだが、栄野川監督はつなぐことを意識して、誰かが落としても、誰かが取り返すチームに育てていった。「今はとにかく団結力がある」とチームの強みを語る。
昨年の優勝は1、2年生が主体だったため、挑戦者として臨めていた。ことしは、2、3年生となり、後がないプレッシャーもあり、慎重になり、硬い動きのメンバーもいた。試合の時には3年生には気持ちを上げる助言をし、2年生には技術的な助言をし、調子を上げていった。
3連覇の懸かる来年は、全国総体優勝の経験者が娘の美羽のみとなる。チームががらりと変わり、またチームづくりが始まる。
「挑戦者として、県大会から一歩一歩臨みたい」と新たなチームとともに来年の夏を目指す。
(屋嘉部長将)