【台風6号】土砂崩れ33件に 国指定文化財の津嘉山酒造所で外壁が剥落 各地から被害報告相次ぐ(8日のまとめ)


この記事を書いた人 琉球新報社
土砂崩れの起点となった地点。大きな亀裂が入り、プレハブの建物も落下した=8日、沖縄市高原

 1週間にわたって沖縄地方を襲った台風6号は各地に爪痕を残した。県内広い範囲で大雨が降った影響で、8日も各地で崖崩れなどの新たな被害が確認された。これまでに33件の土砂崩れが確認されたほか、暴風による住宅などへの被害も続々と県に報告が上がり、被害の全容がようやく見えてきた。一方、一部地域で電話回線の不通が続いているほか戸別の停電があり、日常生活が戻ったとは言えない状況だ。

 沖縄市高原3丁目の高台では幅約100メートルにわたって土砂崩れが発生した。消防が周辺4世帯に避難を促し、規制線を張った。土砂崩れの起点となった場所は地面に大きな亀裂が入り、プレハブの建物が数㍍落下した。土砂が押し寄せたことで周辺のブロック塀がゆがみ、斜面下にある民家の擁壁はひび割れた。土が隆起した場所もあった。

 避難を促された住宅地を所有する男性(57)は、塀のひび割れを確認し、8日午前9時過ぎに消防に通報した。「次の雨で一気に崩れるのではないか。二次災害が怖い。崩れた場所は盛り土のようだ。どうにか対策をしてほしい」と話した。

しっくいの壁がはがれ落ち、ベニヤ板で補修された国指定重要文化財の建物「麹屋」=8日、名護市の津嘉山酒造所

 南城市大里平良の県道77号の旧道は、車道と歩道が約20メートルにわたって陥没した。深い場所で50センチ以上陥没し、現在、片側通行になっている。県南部土木事務所は10月にも復旧工事に着手する方針。

 名護市にある国指定重要文化財、津嘉山酒造所は麹屋と呼ばれる建物の外壁の一部が水を含んではがれ落ちた。市の職員が8日、同酒造所を訪れ、修繕へ向け情報交換をした。県教育庁は文化庁から修繕方法の助言を受ける方針。この建物は戦前から酒造りに使われている。杜氏の秋村英和さんは「修繕費がかかるため悩ましい」と話した。
 (吉田健一まとめ)