沖尚、二回に3点先取、守り切る エース東恩納が9K完封、1番知花が勝利呼ぶ適時二塁打


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 第105回全国高校野球選手権記念大会第6日の11日、沖縄尚学が2回戦となる初戦を3―0で勝ち抜いた。序盤から打線がつながり、変化球が多彩ないなべ総合(三重)の投手から二回に3点を奪った。エース東恩納蒼は被安打8としながらも強気の投球で後続のつながりを許さず、無失点の完封試合を成し遂げた。沖尚は大会第10日の15日、創成館(長崎)と第1試合(午前8時開始予定)で3回戦を戦う。この日は沖縄尚学のほか、広陵(広島)、慶応(神奈川)、文星芸大付(栃木)が3回戦に進んだ。今春の選抜大会4強の広陵は立正大淞南(島根)を六回に逆転して8―3、慶応は12安打と打線が活発で北陸(福井)に9―4で勝った。文星芸大付は初出場の宮崎学園を八回に逆転し、乱打戦を9―7で制した。


沖縄尚学―いなべ総合 2回2死満塁、右翼線に2点適時二塁打を放つ沖尚の知花慎之助=11日、兵庫県の阪神甲子園球場(小川昌宏撮影)

 1点を先制した二回2死満塁の好機で、不動のリードオフマン知花慎之助がきっちりと自分の仕事を果たした。追い込まれてからの4球目、外の変化球に対しタイミングをしっかり合わせて捉えた打球は右翼線上へ。適時二塁打となり、2点を追加した。県大会で不振にあえいだ男が勝利を引き寄せた。

 知花は最初の打席から好調さをうかがわせた。中堅よりの左飛でアウトとなったが、沖縄尚学が重視する初球から振っていく打撃でファーストストライクをきちんとミート、安打性の当たりにしていた。「内容は良かった」と手応えを感じていた。

 押し出し死球での先制点に続き、「後ろにつなぐつもりでタイミングだけを意識した」と打席に入った。これまでの不調を吹き飛ばすかのような技ありの2点適時打だった。

 県大会はなかなか安打が出ず、打率は1割7分6厘と苦しんだ。甲子園までの間はひたすらバットを振り込み、一から打撃面を見直した。成果は甲子園の初戦で結実し、チームの勝利へとつながった。

 次戦に向け「今日はヒット1本しか出ていない。次は複数安打を目指して初球から打っていく」と歩みを止めない。

(砂川博範)


県大会から無失点継続

沖縄尚学―いなべ総合 6回1死満塁のピンチを二者連続三振で切り抜け、声を上げる沖尚の先発・東恩納蒼(小川昌宏撮影)

 東恩納蒼が甲子園の舞台で初となる完封劇を演じ、いなべ総合(三重)を寄せ付けなかった。被安打8としながらも9奪三振、味方の好守備もあって相手打線のつながりを絶ち、得点を許さず。県大会から続く無失点イニングを伸ばした。

 この日は強みの直球が、高く上ずる場面が見られた。その一方で変化球の制球力がさえていた。横と縦に曲がるスライダーをたくみに織り交ぜ、打者に的を絞らせなかった。

 六回は2連続安打を浴びた後、野選で1死満塁のピンチ。流れを持っていかれそうになるが、持ち前の度胸で少しもひるまなかった。迎えた2人の打者をストライク先行で早々と追い込むと、130キロ台の切れのあるスライダーでいずれも三振を奪い、危機を脱した。「点を取られたくないという気持ちで投げていたのでギアを上げた」。最後は気持ちでねじ伏せた。

 捕手大城和平の2度の二盗阻止など味方の好プレーにも助けられた。試合を終え東恩納は「無失点で抑えるということが第一の目標だ。達成できてとてもホッとしている」と安堵(あんど)の表情を見せた。「試合はまだまだ続く。次も無失点で切り抜けたい」と力投を誓った。

(砂川博範)


捕手大城 攻撃の芽つむ

沖縄尚学―いなべ総合 8回2死一塁、いなべ総合の一走・阿久沢魁(右)の二盗を阻止し、声を上げてベンチに戻る沖尚の捕手・大城和平(小川昌宏撮影)

 沖縄尚学が甲子園でも堅い守りを発揮した。捕手の大城和平は四回と八回に2度二盗を阻止し、機動力で揺さぶりをかけるいなべ総合の好機を阻んだ。

 大城和は配球でも、東恩納蒼の直球にばらつきがあると見るや、普段よりスライダーを多めに交えて相手打者を抑えた。

 選抜は右手の指2本を骨折し、出場できず悔しい思いをした。夏の甲子園では「まずは楽しむと決めていた」。その言葉通り躍動したプレーで守備からチームをもり立てた。

(砂川博範)