りゅうせき(浦添市、當銘春夫社長)は本社や関連7社で、横断的に人材を活用する社内登用に取り組んでいる。契約から正社員化した際に、従来は配属した部門やグループ内での異動にとどまっていたが、2022年度に物流と商流の異業種でも相互に社員を起用する制度を構築。今後はりゅうせき本社6部門とグループ7社で意欲がある社員に他業種での挑戦を促し、幅広い分野で活躍できる人材の育成と組織の活性化を図る。
主導してきた根路銘剛宏副社長は「これまで各部門、そのラインでしかキャリアが積めなかった。閉そく感も生まれていた」と振り返る。制度の導入の意義について「人材が動くことで相互理解が深まり迅速な課題解決にもつなげられる。社員の可能性を広げ、人も会社も成長することになると思う」と語り、その効果に期待を寄せる。
これまでも契約から正社員となるキャリア採用は続けているが、契約で配属した部門やグループ内で勤務することが一般的だった。新制度は正社員化した後、さらに試験や面接などを通してどの部門やグループへも起用を可能にする「グローバル社員」としてキャリアアップを図る仕組み。運送業務などの専門職でも任用替えで他の職務、さらにグローバル社員へ挑戦できるようになった。子会社採用でも制度を活用できる。
スタートした22年度は契約から特定の職務限定社員に24人、任用替えに3人、グローバル社員に17人が合格した。りゅうせき本社では同制度で実際に物流の輸送事業部から商流の産業エネルギー事業部に異動になった社員も。その他りゅうせき建設やりゅうせきフロントラインなどグループ会社でも合格者が出ており、今後の活躍の幅を広げている。
輸送事業部の下地泰之調査役(53)もその一人。契約で入社し旧子会社で陸上運輸の「りゅうせきロジコム」で長く勤務してきた。吸収合併後も同部門に所属してきたが、今回試験を受け合格した。下地氏は「運輸部門でしかキャリアを積めないと思っていた。今後はいろんな可能性が広がる。後輩たちも続いてほしい」と意欲を高めている。
(謝花史哲)