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サンゴ移植の指示巡り、県がきょう提訴 係争委判断に不服 辺野古新基地で国と13件目の裁判へ 


この記事を書いた人 琉球新報社
多くのサンゴ類が生息する大浦湾の海(2021年撮影)

 名護市辺野古の新基地建設に向け政府が計画する大浦湾からのサンゴ類移植を巡り、県は17日、国の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)が、軟弱地盤の埋め立て海域に生息するサンゴ類の特別採捕を玉城デニー知事に許可するよう求めた農林水産相の是正指示を違法ではないと結論付けた7月の判断を不服とし、福岡高裁那覇支部へ提訴する。

 辺野古新基地建設を巡る県と国の裁判は13件目となる。

 沖縄防衛局が移植しようとしているサンゴ類は、大浦湾側の軟弱地盤に生息する小型サンゴ類約8万4千群体、ショウガサンゴ8群体と大型サンゴ類21群体で、2022年7月に県へ特別採捕許可を申請した。農相は今年3月、県が不許可とした沖縄防衛局の特別採捕許可申請を許可するよう地方自治法に基づく「是正の指示」を出していた。

 裁判の論点は新基地建設のため防衛局が計画している大浦湾側のサンゴを移植する必要性だ。

 県側は、軟弱地盤を改良するため沖縄防衛局が提出した設計変更申請を県が不承認としたことで大浦湾側の工事ができない状態となっていることから「サンゴの移植は必要ない」と主張する。

 県の申し出を審査した係争委は、農相が移植を許可するよう指示する理由とした、国土交通相による不承認処分を取り消す裁決と、申請を承認するよう求めた是正の指示について「有効であることを前提としていることについて判断の瑕疵(かし)はない」などとして県の主張を退けていた。
 (知念征尚)