16日に行われた第105回全国高校野球選手権記念大会第10日第1試合。沖縄尚学が3回戦で創成館(長崎)を5―1で破り、9年ぶり2度目となる8強入りを決めた。七回に知花慎之助の二塁打で1点を先制した直後の八回、玉那覇世生の中前打から打線がつながり、四球や犠打を絡めて、最後は大城和平が右中間への3点適時二塁打を放ち、勝負を決定づけた。投げてはエース東恩納蒼が9回1失点と2試合連続で完投した。大会第12日(19日)の準々決勝で、沖尚は夏の甲子園としては初の4強入りを懸け、慶応(神奈川)と対戦する。
エース東恩納蒼が初戦に続いて3回戦も完投し、チームを勝利へと導いた。八回に得点を許し、県大会から続く連続無失点記録は48回で途絶えたが、県大会からあまり投げていなかったカーブを効果的に織り交ぜ、相手打線を被安打8の1失点に抑え込んだ。
初戦と同じくこの日も、強みの直球が高く浮く場面があった。一方で切れのある130キロ台のスライダーと100キロ台のカーブはさえていた。立ち上がりから変化球の調子がいいとみるや、スライダーでカウントを整えると、速度差のあるカーブを引っかけさせて内野ゴロや外野フライの山を築いていった。
カーブを多用したのはこの試合が初めて。「感触が良く、これは使える」と要所で投げた。奪三振こそ5にとどまったが、直球以外でもアウトを量産できるようになったのは、今大会での成長を感じさせた。
八回には2本の安打で1点を返され、無失点記録が止まる。しかし逆に重圧から解放され、初戦から制球に苦しんだ直球が決まるようになり、創成館の追加点を許さなかった。
2試合連続で完投し、波に乗るエース。19日には4強入りを懸けた準々決勝が控える。「チームが勝てるピッチングができた。次もしっかりと調整し、また無失点をテーマにやっていきたい」と淡々と答える表情からは、投球への自信が垣間見えた。
(砂川博範)
3回戦 8月16日 阪神甲子園球場
沖縄尚学
000 000 140|5
000 000 010|1
創成館
(沖)東恩納―大城和
(創)福盛、永本、川田、荻山―山下
▽二塁打 知花、大城和(以上沖)
▽犠打 佐野、川満、糸数(以上沖)、東(創)
▽失策 下川(創)
▽試合時間 2時間3分
【評】好機を確実に生かした沖縄尚学が5―1で創成館(長崎)を下した。東恩納蒼と福盛大和の両エースが投げ合う投手戦となったが七回、知花慎之助が2試合連続となる適時二塁打を放ち、沖尚が先制した。八回に創成館の永本翔規が継投すると、沖尚は中前打や四球で2点目を加えた。さらに大城和平の二塁打で3点を追加し、5点のリードを奪った。その裏、東恩納が1点を返され、県大会からの連続無失点記録を48回で止めるが、追加点は許さず完投した。
(砂川博範)
いい形で連打出た
沖縄尚学・比嘉公也監督の話 いい形で連打が出て先制点につながった。相手投手の継投は頭に入っていて、代わったところがチャンスだと思っていた。夏はまだ超えたことのない8強を超すんだとの強い意気込みで選手たちが頑張っているので、信じてまた戦いたい。
最少失点で抑える
沖縄尚学・佐野春斗主将の話 自分たちの野球を簡単にはさせてくれない良いチームだった。(先発の福盛投手は)もっと変化球を使ってくると思っていたが、序盤は直球で押された。次戦に向けては、まずはしっかりバットを振ることと、守りでは少ない失点で抑えられているのでそれを継続する。