子どもの「体験格差」解消へ 不登校の子らバスケW杯関連イベント運営に挑戦 「自信に」 アーチトゥフープ


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組み立て式のバスケリングを設置する、子どもの居場所や就労支援施設などを利用する子どもたち=7月28日、沖縄市(提供)

 バスケットボールを通じて子どもの体験格差の解消を目指す一般社団法人「Arch to Hoop(アーチトゥフープ)」が、7月から活動を本格化している。FIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)の公式球を提供するモルテンの勝田駿平さん(29)が中心になり4月に設立した。

 アーチトゥフープは県内の就労支援施設や子どもの居場所を運営するNPO法人と連携し、施設を利用する子どもたちにイベントの企画や運営を任せ、支える。不登校や引きこもりなどの子どもたちにイベントなどを通じて非日常の体験を味わってもらう狙いがある。

 モルテンでボール設計などを担当していた勝田さんが「W杯をきっかけに、社会貢献活動ができないか」と考えてプロジェクトが動き出した。社会課題の解決を専門にする一般社団法人リディラバの協力を受け、県内の子どもの貧困問題解消に焦点を当てた。

 7月29、30日に沖縄アリーナで開かれたW杯1カ月前イベントで県内3団体のNPO法人の子どもたち約40人が協力し、組み立て式のバスケットボールコートの設営や3人制バスケ「3×3」などのイベントを実施した。

 勝田さんは「自分たちの力で行ったことは自信になる。イベントの裏に大勢の人が関わっていることも知ってほしい」と語る。参加した小学4年の児童(9)は「初めて会った友達ができた。また一緒にやりたい」と話した。

 アーチトゥフープは現在、主にモルテンの寄付で成り立っているが、参画企業も募っている。貿易事業を展開する「萌(きざ)す」(糸満市)など県内企業も関わっており、W杯終了後も活動を続ける予定。8月25日の開幕を前に、23日にはうるま市石川体育館でイベントを実施する。
 (古川峻)