
県内の米軍基地で使用されていたポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物について、防衛省が引き取り、国内で処分していたことが18日までに分かった。このうち、蛍光灯安定器やコンデンサーなど計3975個が未処分で、米軍施設内で保管している。未処理分の多くが海外製の電気機器などで、米軍が持ち込み使用していたとみられる。
基地返還跡地で見つかったPCB廃棄物は日米地位協定で米軍の回復義務が免除され、日本政府が処分することとなっているが、現存する基地については日本が引き取って処分する明確な基準や根拠がない。防衛省は「その都度、協議する」と説明した。
日本側の引き取りは沖縄防衛局への取材や県への情報公開請求で明らかになった。少なくとも2019年度から行われていた。未処理の保管量は数トン分で、キャンプ・シュワブやキャンプ瑞慶覧、普天間飛行場、トリイ通信施設でドラム缶などに入れて保管されている。

米軍は過去にPCB廃棄物を米本国に持ち帰って処分しており、政府も2012年に国会で「順次、米本国へ搬出され、処理・廃棄をされてきている」(当時の玄葉光一郎外相)と答弁していた。
防衛局は今年6月、PCB特措法に基づいて22年度に引き取った分量や保管場所について県に届け出た。大半は米軍が処分しないままになっていたPCB含有機器で、防衛局が実施している米軍再編事業の解体工事中に見つかった。
22年度引き取り分のうち、嘉手納基地で見つかった変圧器2基だけは既に処分された。
この変圧器は再編事業とは無関係だが引き取り、鳥取県の処分業者が処理した。処分の経緯などについて防衛省環境政策課は「日米間で調整した結果、米軍から引き渡された」と述べるにとどめ、詳細を明かさなかった。
保管している分について防衛局は「本年度内に処分できるよう関係機関と調整している」と説明した。ただ、既に引き取ったのはPCB製品・廃棄物の一部に過ぎず、他にも基地内には米軍が保管しているPCB製品や廃棄物が残っており、処分のめどが立っていない。
(明真南斗、知念征尚、慶田城七瀬)