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バナナ耐えた 台風6号にも「傾く程度」 独自の対策、試行錯誤の上江田さん 宜野座


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台風6号の猛威に見事に耐えたバナナを見つめる上江田武信さん=8日、宜野座村のピースフルファーム

 【宜野座】今月初旬、県内に甚大な被害を及ぼした台風6号。農家は台風のたび農作物に甚大な被害を被っても、挑戦を続ける。免れようのない自然災害をいかに最小限で食い止めるのか。農家の台風対策への努力と工夫が尽きることはない。

 宜野座村で農場「ピースフルファーム」を営む上江田武信さんは、圧倒的な脅威の台風にもひるむことはない。独自の理論で循環型農業を実現し、1年半の農業歴ながら、ベテランの風格を漂わせている。

 台風6号対策で上江田さんは接近の頃合いを見計らい、上陸寸前に収穫が必要なバナナの実は収穫し、千本もの幹の余分な枝葉を剪定(せんてい)した。その後のUターンの猛威も見事に耐え、バナナ木も傾く程度の被害で済んだ。長期化する台風の課題としては、天候不良による航空便の欠航で物流が滞る問題がある。上江田さんは「新しい流通の仕組みを作り直さねばならない。台風以外の悪条件は何一つない沖縄で、事業として本格的に成立しないほどに台風は天敵だ。成功の先駆者を目指したい」と前を見る。

 独自に展開する「バナナオーナー制」には全国に上江田さんの島バナナを求める顧客がいるという。長期冷凍による多様な商品化や粉末状の「バナナ粉」など、アイデアを練る。理想とする農業の実現に生涯を賭ける。

(池辺賢児通信員)