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沖尚・仲田の先制2ラン チーム随一の長打力発揮 主将・佐野も連続安打 夏の甲子園


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 19日の第105回全国高校野球選手権記念大会準々決勝。沖縄尚学初となる夏の4強入りを懸けた戦いは、強打を誇る慶応(神奈川)に2―7で敗れた。四回、沖尚は仲田侑仁の2点本塁打で先制するも、それ以降は得点できず。エース東恩納蒼も五回まで被安打3と奮闘するが六回、連打を浴びて6失点でマウンドを降りた。継投した儀部皓太朗も1失点し、頂点を目指した沖尚ナインの物語はここで幕を閉じた。


沖縄尚学―慶応 4回1死二塁、先制の左越え2点本塁打を放つ沖尚の仲田侑仁

 主砲の仲田侑仁が四回、2点本塁打を左翼席へと豪快に運び、慶応から先制点を奪った。「1打席目で変化球が多かったので、次も来ると思った」と、張っていたカーブを初球でしっかりと捉えた。春の選抜1回戦でも先制満塁弾を放っており、チーム随一の長打力がここでも爆発した。

 2試合で1安打と調子を落としていた仲田。慶応戦も最初の打席はカーブを引っかけさせられ、三ゴロに打ち取られた。

 四回の2打席目は1死二塁の好機で迎えた。「ホームランを狙うと力む。ヒットの延長で入ればいい」。気負いが取れたことでフラットな状態で臨めた。初球カーブが来ると、待っていたと言わんばかりにフルスイング。「行った」。打った瞬間、確信した。打球は今大会第19号となるアーチを描き、矢のような速さで左翼席へと吸い込まれた。

 これで勢いに乗りたかった沖縄尚学だが、その後逆転され、惜しくも準々決勝で敗退した。仲田は試合後、悔しさをにじませながらも「最高の舞台で野球ができた」と言葉をかみしめた。

(砂川博範)


沖縄尚学―慶応 6回1死、左方向に安打を放つ沖尚の佐野春斗

 主将としてチームを率いた佐野春斗は準々決勝敗退が決まると、目に涙を浮かべた。高校3年間の思いをぶつけた夏の甲子園。「最終的には優勝したい」と本気で頂点を狙ったが、及ばなかった。

 3回戦までの2試合は安打が出ず、苦しんだ。だが準々決勝では挽回して2、3打席目で連続安打を放つなどバットで率いた。

 春の選抜後、チームの士気がばらばらだった時、どうすればうまくまとめられるのか悩んだ時期もあった。そんな状況でも行動で範を示し続けることで、佐野の熱意が少しずつ他の選手たちへと波及し、沖縄尚学は再び同じ方向を見据えるようになった。

 結束力が強まったチームは県大会で優勝し、「必ず戻ってくる」と誓った甲子園への切符をつかんだ。沖尚として夏では初となる4強進出は果たせなかったが、9年ぶり2度目の8強入りを成し遂げた。「つらいこともあった。それでもみんながついてきてくれて、最高の舞台で終わることができた」。佐野は信頼し合った仲間と共に、グラウンドを後にした。

(砂川博範)