沖縄尚学高、授業で琉球舞踊 世界に誇る文化を五感で感じて 9月から練習、年度内に成果発表


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二才踊り「上り口説」を披露する安次冨朱莉さん=7月27日、那覇市国場の沖縄尚学高校

 【那覇】沖縄尚学高校は「総合的な探究の時間」の一環で、1年生を対象に琉球舞踊に取り組んでいる。9月の練習開始に向けて那覇市国場の同校講堂で7月27日、「世界に誇る琉球・沖縄の文化 琉球舞踊について」の講演が実施された。同校社会科の教員で、琉球舞踊かなの会師範の高嶺美和子さん(40)が講師を務め、「世界に誇る文化を五感で率直に感じてほしい」と語り掛けた。

 1年生約320人のうち、40人が講堂で耳を傾け、ほかの生徒は各教室からリモートで参加した。琉球舞踊は、時代ごとに古典舞踊、雑踊り、創作舞踊の三つに分けられる。高嶺さんは、琉球舞踊の歴史や特徴を、生徒や自身の実演を交えながら説明した。琉球舞踊を習っている1年生の安次冨朱莉さん(15)と、高嶺さんの息子・樋口桔梗之介さん(15)が司会を担当した。古典舞踊のジャンルの一つである二才踊りで、琉球から薩摩への旅の様子を描いた「上り口説」を安次冨さんが、薩摩から琉球への帰路を表現した「下り口説」を樋口さんが披露した。

 高嶺さんは雑踊りの「カナーヨー」を軽快なリズムに合わせて情熱的に踊った。戦後から現代にかけて誕生した創作舞踊では、高嶺さん自身が作った「子守節」(2011年)や「神御衣 あけ」(22年)を紹介した。

 1年生は、創作舞踊「國頭サバクイ」の群舞「御万人」を中心に取り組む。「國頭サバクイ」は首里城を造営や再建する際、山で木を伐採し浜へ運ぶ過酷な労働を、人々が陽気に歌いながら乗り越えた様子が描かれている。人々が声をかけ合い、心を一つにして労働する姿が見どころだ。生徒は過去の公演の映像を鑑賞し、高嶺さんは「1学年みんなで取り組んで、気持ちが一つになればいいな」と話した。

 生徒は今後、9月から練習を始め、本年度中の成果発表を予定している。安次嶺さんは「一致団結して、琉舞の迫力や魅力を知ってもらえたらうれしい」と話した。樋口さんは「体で音楽を聞く楽しさを、みんなで分かち合いたい」と期待した。

 高嶺さんは「まずは琉球舞踊に触れて、体で感じることが大事。この経験が生徒の将来に役立つと確信している」と意気込んだ。
 (上江洲仁美)