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南西防衛へ輸送力強化 防衛省、過去最大の防衛費計上へ 離島作戦、船舶やヘリの取得費など


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防衛省

 防衛省は2024年度予算の概算要求で、過去最大の7兆7385億円の防衛費を計上する方向で最終調整に入った。南西諸島周辺へ自衛隊部隊や物資を迅速に展開するため、輸送用船舶やヘリコプターの取得費を計上。離島への上陸作戦の際、装備の陸揚げに使う「機動舟艇」を3隻、輸送ヘリコプターを約30機導入。これらを合わせ4千億円程度とする方向で検討する。関係者が21日、明らかにした。

 中国が台湾への軍事的圧力を強めるなど緊張が高まる中、最前線となる南西地域への輸送力強化を急ぐ。

 同省は近く与党に概算要求の概要を説明。7兆7385億円の総額は今後の議論で変更される可能性がある。

 機動舟艇などは、陸海空自衛隊共同の部隊として新設する「自衛隊海上輸送群」に配備する。優先使用契約を結ぶ民間船舶の数も増やす。

 洋上での戦闘能力向上も図る。海上自衛隊の護衛艦の戦闘継続能力(継戦能力)強化に向け、新型補給艦を1隻建造。対潜水艦などの作戦能力を高めた新型護衛艦も2隻整備する。水上無人機の早期導入に向け、各国から試験的に取得する。

 艦艇や地上目標を正確に攻撃する「精密誘導弾」を新たに開発。他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)に活用する。

 政府は27年度までに、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」を海自のイージス艦8隻全てに搭載する方針で、関連費を盛り込む。
(共同通信)