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那覇空港や石垣港など「特定重要拠点」対象に 有事想定のインフラ整備 「軍民共用」常態化の懸念も


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 【東京】内閣官房が「国家安全保障戦略」に基づき、関係省庁を横断する総合的な防衛体制の一環としてとりまとめた空港・港湾などの「公共インフラ」の整備計画の対象に、石垣島や与那国島、宮古島などの県内の複数施設を想定していることが23日、複数の関係者への取材で分かった。計画素案では「台湾有事」などで、自衛隊・海上保安庁が利活用できる対象施設を「特定重要拠点空港・港湾」に位置づけた。

 「有事のみならず平時においても円滑な利用を確保する」としており、「軍民共用」が常態化する恐れもある。関係者によると、計画は内閣官房の国家安全保障局が策定。県内で対象となるのは、自衛隊施設に近接する那覇空港、与那国島の港湾施設や宮古島の空港、石垣海上保安部が拠点にする石垣港など。

 総合的な防衛体制の強化のための「公共インフラ」の整備をめぐっては、内閣府は2024年度の概算要求案で沖縄関係予算に盛り込む方針。海保は、概算要求案で「今後の関係省庁間での検討状況」を踏まえるとした。いずれも金額を示さない「事項要求」としており、最終的な予算規模が際限なく膨らむ懸念もある。

 計画は台湾有事を想定し、「安全保障環境を踏まえた必要な対応を実効的に行う」ためとし、沖縄を含む「南西諸島」を中心に「自衛隊・海上保安庁の艦船・航空機が利用できるように整備また既存事業の促進」を図るとした。

 海保では「テロなどの警戒」「捜索救難・人命救助」「国民保護」、自衛隊では「侵攻する部隊の接近・上陸を阻止」「必要な部隊を迅速に機動展開」することを想定。具体的には空港の滑走路延長や港湾の岸壁・航路の整備などを行うとしている。
 (明真南斗、安里洋輔)