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首相、オーバーツーリズム「秋にも対策を」 沖縄訪問 首里城など視察


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 岸田文雄首相は26日、視察した首里城公園内で記者団の取材に応じ、国立公園に宿泊施設を誘致するモデル事業の対象に、やんばる国立公園を追加指定する方針を明らかにした。また、2031年の国立公園制度100周年記念事業として計画している記念貨幣シリーズの第1弾として、沖縄県内の3公園をテーマにし、来夏に発行する考えも示した。

視察終了後、会見する岸田文雄首相(中央)=26日午後0時35分、那覇市の首里城公園・首里杜館

 那覇空港で整備を進めてきたプライベートジェット専用動線の運用を9月1日から始めることも明らかにし、「利便性向上に向け整備を進める」と語った。

 やんばる国立公園が指定されるのは「国立公園における滞在体験の魅力向上のための先端モデル事業」。環境省が今月4日に十和田八幡平国立公園(十和田湖地域)など3カ所を選定していた。やんばるは国内4カ所目で県内では初めてとなる。今後、自治体と連携し、民間提案を取り入れて国立公園の利用の高付加価値化に向けた基本構想の検討を進めるとみられる。

 また、訪日外国人客の回復が見込まれる中、観光客が一部の地域や時間帯に集中することによるオーバーツーリズムの懸念について「重要課題と受け止め、秋にも対策を取りまとめたい」と語った。

 一方、玉城デニー知事が9月に国連人権理事会に出席し、辺野古新基地建設をはじめとした米軍基地問題について訴える方針であることについては、コメントは差し控えるとした上で、沖縄の米軍基地負担の軽減に取り組む考えを示した。辺野古新基地建設で、沖縄防衛局の設計変更申請を県が不承認とした訴訟で、県が敗訴する見通しになったことについては、「今後どういったことになるのか注視する」と述べた。

 岸田首相は26日午後、帰京した。

(知念征尚)