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失敗から学び、挑戦する 村野一・オリオンビール代表取締役社長 <仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 31歳の時にソニーハンガリーを設立し、社長に就任しました。ゼロから販売会社、工場を立ち上げました。幸い業績も順調で、社内外から表彰を受け、マネジメントとしての自信を抱き始めました。

 ところが、後任に社長を託して数年後、業績が悪化し、幹部社員も離散しているという話を聞きました。

 「そんなはずはない」。いろいろと調べ、部下に失敗を経験させなかったことが原因であることに気付き、愕然(がくぜん)としました。私は現地の社員より「やり方」を知っていたので、いつも先回りして問題を避け、答えを出していたのです。

 自分は上司からたくさん失敗する機会をいただいたのに、部下からはその機会を奪っていました。

 VUCA(変動が激しく、不確実で複雑、あいまい)な時代です。一つの答えだけでは乗り切れません。社員自ら考え、挑戦し、賢く失敗し、そこから学び、次につなげる。

 現場で考え、迅速かつ柔軟に行動する力を付ける必要があります。オリオンビールは、沖縄の若者に夢と希望を与えるために設立されました。

 これからも変化を恐れず、社員の挑戦を応援したい。失敗してもまた立ち上がれば良い。「失敗」と書いて「せいちょう」と読む。野村克也さんの言葉です。

 やる気のある人がどんどん新しいことに挑戦する。その流れが沖縄の明るい未来につながると信じます。そうですよね、具志堅宗精翁。